どれだけ、彼のことを思いながら、この道を走らせただろう。
そんなことを思いながら、今日もハンドルを切っている。
強い日差しが、容赦なくUVカットのガラス越しにも私の肌を焦がし、その感触は私を少しだけイライラさせた。
彼の笑顔を、そして声を思い出す。
今朝まですぐそこにあった、彼の声、肌、息遣い、笑顔、汗ばんだ熱気。
今となってはまるで幻のように、私はただ、一人車を走らせていた。
彼と今のような関係になってから、まもなく一年が過ぎようとしていた。
物理的な距離と、精神的な距離。
ただ、顔を合わせれば、むさぼるように彼を欲しがる私の浅ましさに、我ながら嫌になる。
それでも、彼の顔を見ると、欲しがらずにはいられなかった。
ただ、そばに居たいだけなのに。
ただ、同じ時間を共有したいだけなのに。
ふと私の肌によみがえる彼の汗のにおいに、くらくらした。
後ろから差す残暑の太陽は、それでも私を狂わせる。