最も近くて触れられない | 渡辺修也オフィシャルブログ「雨ニモマケズ」Powered by Ameba

最も近くて触れられない

その気になれば世界のどこでも

何でも調べて知ることができる

ストリートビューでタイの路地だって見れる

でも今私は六畳の自分の部屋で

外した眼鏡の位置がわからない


生まれてこのかた一度も止まらず

眠り意識のない時さえ動き続ける

自慢の赤い臓器が私には一つある

でもそれを直に見ることは死ぬまで恐らくない

私の見れず触れられぬ闇の中にずっと


世界がいかに広く

さまざまなことを知れたとして

いつかマリアナ海溝の底や

龍のようなプロミネンスにさえ触れられるとしても


私は最もよく知る私の

全く触れられず

己でも理解できぬものを抱えて

今日も鏡をみては

瞬間他人のような気持ちになって

口角をあげ笑い

私をとりもどし一日をはじめる