分光
いまいちどこの白色光を
我がプリズムにて分光せねばならぬ
ひとくくりの事象を
七色の粒子へと
悲しみも喜びも憎しみも
一緒くたにしてはならぬ
より粒度をあげて
この人生を離散的に受け取らねば
いま我がプリズムの躯体の中
光速は秒速7kmまで減速している
(生きるには遅すぎる)
あらゆるものは干渉縞としてしか計測できず
私は私のドッペルと干渉し始める
ドップラーに引き伸ばされた
血液のように苦い赤色偏光
(それは分離された私以外の私の波長)
いまや肥大した心臓 ベテルギウスの
末期を眺める電磁生命素として放たれる