草刈り | 渡辺修也オフィシャルブログ「雨ニモマケズ」Powered by Ameba

草刈り

おそらく行政の実施で

朝から唸るエンジン音

その先にはたった一つの

プラスチック棒 それで十分


青い立方体のように澄んだ

夏の空の下で草は刈られる

散々目にしながら名も知らぬ

青々とした雑草が切られては跳ね


業者が体軸を中心に反復する

半円状に草は倒れていく

刈られたことも気づかぬほど

水々しい切り口を空に開けて


茎の切り口には維管束辺りから

緑の汁は表面張力に盛り上がり

早くも夏の終わりの匂いを出す

甘くて締め付けられる何かとガソリンの匂い

今回切られなかった草々が

上下に揺れてそれを眺め


黄色い蝶々が

切られたものと残ったものの境目を

縫うように飛んで

てんとう虫が登った茎の先がないことを知り

所在なげに引き返す