寝相 | 渡辺修也オフィシャルブログ「雨ニモマケズ」Powered by Ameba

寝相

産声をあげて窓辺に

頼りない小躯を投げ出し

関節をまるめ淡児は鳴く

ひやりとした朝のしらせ


冷たい床には

昨夜煙と戯れていた

ひときわ脚の長い蚊が

仰向きに転がり なにかの

結晶のように折り畳まっている


まだ凹凸のみえない

滑らかな耳たぶや土踏まず

寝姿はオリオン座を模して

まだ見ぬ生に襲いかかる


蚊の結晶は風に吹かれ

軽く床を滑る

児戯のごとき鼻息

消えたはずの揺れる煙