黒鉛 | 渡辺修也オフィシャルブログ「雨ニモマケズ」Powered by Ameba

黒鉛

削れ芯を何度も
何度も折れても今一度
研ぎ澄ませどこまでも
針のように棘のように
お前はダイヤモンドだった
限りなく硬く強く
無限円点と呼ばれた
あの消失点を穿て
8H 鴉がこちらを見つめる
F 欅の影が手を伸ばす
4B 雨が避けた
黒鉛が燃える
お前だけが紙の摩擦を
ものの手触りを知るだろう
椎や橅や樫が団栗が
優しく包む見守る
そしていつか一面の黒
心はグラファイトのように
暖かく春を待ち望む
冬の朝の去りゆく夜の
淡い紺を残して