デッサン | 渡辺修也オフィシャルブログ「雨ニモマケズ」Powered by Ameba

デッサン

散弾銃みたいに叫んで

好きな人の名前を放り投げて
思春期は枯れていった
セピアよりもくすんだ色を伴って
 
アルバムは不必要に重い
それでも開けば涙がこぼれる
若い頃の母親よりも
もう歳を越えた自分がめくるページ
 
セルロイドのフィルムを爪でなぞる
悲しい溝を辿る爪
実家は遠い年月の宿
永住するはずの胎内
 
誰も読むはずのない日記だから
知られたくないことも書き連ねられる
弟にも妹にも話したことのない話を
自分も知らない事実を
木炭でこしらえた誰かのデッサンを