光学迷彩 | 渡辺修也オフィシャルブログ「雨ニモマケズ」Powered by Ameba

光学迷彩

俺がアゲハだと思ったのはアゲハではなかったのだよ

その羽根には虹色の渦が渦巻いていて
そこから一筋の光線を放っていた
奥万の荒野を貫く光線が
 
ところでこのカプセルの中に入っているのはなんの薬だろう
イチイの粉からそれとも
オニゼンマイを煎じた液
とにかく飲むしかないんだ黒く粘ついたその液を
 
そうすればこの酷く温もった夜を乗り越えることができる
群青を通り越して深紫
深紫を越して濃すぎる暗い熱帯夜を
 
扇風機の後ろにさっきのアゲハが止まって
風に乗せて七色の鱗粉を飛ばしてくる
俺の汗ばんだ皮膚に絡みついて
気がつけば光学迷彩の蛹になっていたよ
 
朝には起きるから
何事もなかったように