失恋
神さま私はきっと失恋をしました
そうでなくてはこの胸の痛みが
こんなに痛いのが説明がつかないのです
どうか責任を取ってもらえませんか
こんなに痛いのですから体の中は
血だらけも血だらけぐずぐずで
捌きたての鱈のように決まってます
私は弱って死ななくてはならないのです
人が人を愛するように造っておいて
人を心の底から愛したこともなく死ぬなんて
こんな不幸なことがありますでしょうか
あの人は私以外の名を口にしていた悪びれもせず
私が毎夜あなたの名だけ呼ぶというのに
知らないのです いや知っててきっと
ああ無情とはこのこと もうどうとでもして
あなたもっと苦しむ前に
一思いにばっさりちょん切りなさい
ええ おほんおほん
その願い叶えてしんぜよう
その前に
幾人かもそのようにお前に対して言っておったよ
その者たちに詫びてからにしてもらえぬか
そんなわけであれ以来
右手に鋏 左手に髪を掴んで
鏡の前で固まっているのです