新しい靴
新しい靴を履いて朝
どこまでも行ける気がする
つま先を二度三度地面に打ち付け
シュータンを引き上げ
ヒールカップをあわせる
おろしたてのスポンジのような
まったくへたらないソールが
ぐんぐんと足を押し返してくる
明け方に雨が降ったのか
黒く湿ったいアスファルトが灰色と乾き
その境目を選んで走る
冷たく頬を流れる風の中に
沈丁花の薫り
産毛が湿って白く光る
いつもと同じ道を
いつもと違う靴で
いつもと同じ景色を
いつもより速いスピードで
どこまでも走れる気がする