レインコート

よくここまで守ってきてくれた

自我よ　傷つかないため

嬉しさ　悲しさ　恥ずかしさ　快さ

原色で迷彩のレインコート

今日も外は密かに雨がふるから

だけどここらで一度脱いでみたいのだ

いつの間にかこの日に日に鮮やかな

レインコートが自分自身だと

気がつけばそんなふうに

晴れの日も家の中も

寝るときも着ていて

何が自分の皮膚だったか

忘れているような気もするのだ

もともとは裸だった

名前のついてないものしか知らなくて

知ったものばかり手元において

食べたことのあるものが美味しくて

いまいちど雨や風や

あんなにも陽の光を望んでいた

自分にさえ名前のついてなかった

買ったばかりの紙粘土のような