雨の日に | 渡辺修也オフィシャルブログ「雨ニモマケズ」Powered by Ameba

雨の日に

うつら雨音だけを聴きながら
午後まで寝ていたこんな日は
これからの一日をどう過ごすのか覚束ず
寝癖のままコーヒーを片手に
じっと網戸越しに濡れた道をみる
湯気がのぼり 雨が降り 梅雨
こんな自分も水の循環に寄与して

天気予報さえ見ていれば
回さなかったであろう洗濯機
ステンレスに手の甲をぶつけ突っ込み
脱水槽の形に皺つきへばりついた
生乾きの布団カバーを剥がしながら途中
もう一度「すすぐ」を押して
「脱水」は押さず水の中に沈める
雨の中に干すのと同じ

それでも一番近いダイエーへ
折りたたみ傘を差して数歩
雨が当たらぬのは上半身のみ
通気性の良いスニーカーは率先して濡れる
湿った靴下の感触から離れるため
靴の中で折った指をくの字に歩く

最近わかったが
傘を叩く雨の音には
本当はリズムがある
だからといって どうして雨の日は
昔のことばかり思い出すだろう

傍らには縁を青く染め始めた
白い紫陽花が声をかける
なぜ傘を差すの?
こんなに心地よいものはないのに、と。
道向こうには「ん」の狛犬
頭から流れる雨を噛み締め
気恥ずかしさに足早になる

買うはずもなかったアイスを齧りながら
帰り道 紫陽花の前で傘をはずしてみる
教えてくれるだろう こんな雨の日に
笑いながら未来を歌う術を