深みとは⑦戻る力 | 渡辺修也オフィシャルブログ「雨ニモマケズ」Powered by Ameba

深みとは⑦戻る力

深みを覗きに行くのを、稽古という名の海潜りになぞらえよう。

まず、素潜りというものがある。
裸一貫で飛び込むものだから、水の感触も冷たさもダイレクトに伝わる。だが、これは、水圧の関係上あまり深くまでは潜れない。体感的にはビビッドだが、見える景色はまだ明るい。

これは言うなれば、稽古で、役を演じながら潜るようなものである。


深く潜るには装備が必要である。水のダイレクトな感触はなくなるが、深く潜れる。それこそ、しんかいのようなものに乗れば、8000mまで潜れる。そこはもう光の届かない闇である。


何がいいたいかというと、逆説的に聞こえるかもしれないが、本当に深く潜り、闇をみるならば、水圧に潰されぬ、痛まぬ装備が必要なのだ。そうでなければ死んでしまう。

もう一つ。そして必ず帰らねばならない。そのためには命綱が必要である。帰れる道しるべを。そして帰路のための浮力と酸素。これがなければ、帰って来れなくなる。帰って来れなかった場合、例え死ななくとも重篤な後遺症が残る。

これは稽古で言えば、深く潜るためのバラストが、ある意味でのプレッシャー、潜るための圧力をかけることであれば、浮力や酸素は、ちゃんと評価することや褒めることである。

水圧と浮力が同圧でなければ、潜ったとしても、水面に帰って来れない。

水圧と浮力は同圧でなければならない。