あの金属音でさえも | 渡辺修也オフィシャルブログ「雨ニモマケズ」Powered by Ameba

あの金属音でさえも

稽古場である芹ヶ谷スタジオから高ヶ坂にあるくら寿司に行くには、伊藤病院の隣にあるかなり急な下り坂を歩くことになります。

どれくらいの勾配かというと、スネに力を入れてブレーキをかけながら下るため、版画美術館入り口につくころには、スネが軽く凝り始め鈍く金属味をおび、寿司ネタでいうとこのコハダのようになるくらい。

そんな坂をくら寿司に向かって下りている途中、ちょうどスネもイワシくらいになったとこらへんでしょうか、上から小学生低学年くらいの三人が自転車、かなりの猛スピードで走ってきました。

あたかも深夜にテレビで時々放映されるアメリカのエクストリームバイクの大会のように、恩田川を飛び越えるための助走でないかと疑うくらいのスピードです。事故らないといいなぁ、とハラハラみていると、

キキィイイイイィィィーーーーッ!!!

といかにも手入れをされていませんというブレーキの主張が強くあらわれた、あの耳慣れた甲高い金属音が。

うわっ!うるさ…と思った瞬間、僕の横を駆け抜け際に彼らが残した言葉は

「うっわーー!きいた!?いまの?超キキィーッって鳴った!!」
「すっげぇ!!かっきぃーー!!」
「いいなぁーー!!!」

と。そしてまたブレーキを開けて加速しながら走っていったのでした。

おおぅ…

うるさ!なんて思った自分が少し悔しいというか、あの耳をつんざく金属音ですらエンタテインメントにしている彼らの感性。ちょっと待てよう、自分にもあったぞそんなの。

と、危ない危ない。まだそれを捨て去ってはいかんなぁと思い、足首を回してアジのようになったスネのコリをほぐしながら、まずはやっぱりネギトロから食べようと、くら寿司に向かったのでした。