旅は道づれる人によりけり③
さて、ホテルでの安寿さんとの会話の前に、実は安寿姐さん、舞台の外でも敏腕であり、大きな案件や大口の券売などをスマートに決めてきてしまう。そりゃあんなにシンメトリーな顔の女優さんから真摯にお願いされたらどうにも受け入れてしまいそうなもんだが、実はそういうことだけでもないのであって。
まあ、そんな一面もあるということを念頭に置いて、ホテルでの安寿さんとの会話。
「修也くんおはよう」
「あ、おはようございます」
「なんか外食でいっぱい食べてるから私、太ったかも~」
「ええ?そうですか?あ、でも昨日計ったら俺そんな増えてませんでしたよ」
「嘘!じゃあ大丈夫かな」
「大丈夫ですよ」
「あのお風呂場の体重計か」
「そうです。お風呂場の」
「でも、もしかしたら少し軽くなるよう設定しているかもよ」
「あー、そういうのあるかもしれませんね」
と、まあ、確かに客商売であるからそういうこともあるかもな、と思ったのだ。泊まっている間くらい精神的サービスとしてそう設定するかも、と。そんなとこに気が至るとは、さすが安寿姐さん、女性だなあ。なんて感心していたところで、次の一言。
「重かったらみんな食べなくなっちゃって、儲からなくなるもんね♪」
そう、姐さんの頭の中では瞬時に次のような図式ができていたのである。
体重が増える
↓
食べるのを控える
↓
ホテル近隣の飲食店の売上が下がる
↓
那覇市の経済状況が微々たるものといえ悪化する
つまり体重計の設定の話からマーケティングまで、風が吹けば桶屋が儲かる的に瞬時に思考が飛んでいたのだ。同じ話題で宿泊客が気が悪くならないように、くらいにしか考えていなかった自分の浅はかさが恥ずかしい。姐さんが大きな案件をGETして真髄はその美貌に限らず、この発想力にあった。
これだけ瞬時に飛ぶのであれば、会話の途中で突然南国の鳥のように「キャハハハ」と笑い出すのも頷ける。なんでもない会話の中でも、姐さんの中では物凄いドラマが走馬灯のように展開しているのだ。
「修也くんおはよう」
「あ、おはようございます」
「なんか外食でいっぱい食べてるから私、太ったかも~」
「ええ?そうですか?あ、でも昨日計ったら俺そんな増えてませんでしたよ」
「嘘!じゃあ大丈夫かな」
「大丈夫ですよ」
「あのお風呂場の体重計か」
「そうです。お風呂場の」
「でも、もしかしたら少し軽くなるよう設定しているかもよ」
「あー、そういうのあるかもしれませんね」
と、まあ、確かに客商売であるからそういうこともあるかもな、と思ったのだ。泊まっている間くらい精神的サービスとしてそう設定するかも、と。そんなとこに気が至るとは、さすが安寿姐さん、女性だなあ。なんて感心していたところで、次の一言。
「重かったらみんな食べなくなっちゃって、儲からなくなるもんね♪」
そう、姐さんの頭の中では瞬時に次のような図式ができていたのである。
体重が増える
↓
食べるのを控える
↓
ホテル近隣の飲食店の売上が下がる
↓
那覇市の経済状況が微々たるものといえ悪化する
つまり体重計の設定の話からマーケティングまで、風が吹けば桶屋が儲かる的に瞬時に思考が飛んでいたのだ。同じ話題で宿泊客が気が悪くならないように、くらいにしか考えていなかった自分の浅はかさが恥ずかしい。姐さんが大きな案件をGETして真髄はその美貌に限らず、この発想力にあった。
これだけ瞬時に飛ぶのであれば、会話の途中で突然南国の鳥のように「キャハハハ」と笑い出すのも頷ける。なんでもない会話の中でも、姐さんの中では物凄いドラマが走馬灯のように展開しているのだ。