俳優だったら人前でも緊張しないだろうって?
広島に入りました。今日はご縁を持てたある高校でのワークショップ。高校一年生200人に「感じる」「殻を破る」「人と関わる」といったことをテーマにした二時間のワークでした。
名古屋にいる間から実は終演後などに綿密な打ち合わせをしています。
それでもっていざ本番。
あのですね、よく言われるんですけどね、「あれだけ1000人の前とかで歌ったり踊ったりするんじゃ、もう人前なんて緊張しないでしょ?」って。
ブブー!はいハズレ!!緊張しないと思ったら大間違いよ、そこのあなた。
例えばワークショップなんかは簡単に考えても次の二点が劇場と違います。
・台本がない
・相手の顔がよく見えるし、リアクションがそのままわかる。(劇場は遠いし暗いからわからない)
ここから何が引き起こされるかというと、予想していたリアクションが来なかったり、空気が冷めてたりすると直にわかるわけで、すると台本が決まってないぶん話している内容があわわあわわと、みるみる崩れていくわけです。
今日の生徒達も実は午前中に期末考査をしていたばかり。体育館に入っても雑談一つ物音一つたたない雰囲気が。
逆にこちらが緊張してきます。
口が渇き、背中に冷たい汗が走ります。
担当の先生から「それではよろしくお願いします!」とコールされて颯爽と走っていき、一列に並んで挨拶をしにいきます。
実はここがワークショップの一番のポイントで、ここでどれだけ躍動感だとか、姿勢の良さだとか、声の張りだとかをバーン!!ってみせて、あ、俳優がきた!!って思わせるかが生命線なんですね。それ以後の説得力、浸透度がまったく違う。
挨拶から綿密に計算しているわけです。
しかし今日は極度の緊張感…戦艦大和が建造された呉市の近くという歴史的な重みも双肩にかかりながら、いざ挨拶!
「音楽座ミュージカルです!よろしくお願いします!」っていうはずが、
『音楽座ミュージグァファッ!!』
はい。噛みました。せんせー渡辺くん噛みましたよ。はい先生知ってます。二時間で一番噛んじゃいけないとこね、ここ。テストに出ますよ、メモしてー。
俳優がね、緊張しないなんてね、ないですよ。少なくとも自分は。でもきっと緊張しなくなったら終わりでね、立て板に水のように喋っても凄いとは思われても共感はされない。緊張を抑え込みながらなんとか綱渡りのようにコントロールして…
「あ、あの人も緊張しながら、でもここまで出来るんだ」
って思われるから、自分もできるかもってどこかで感じてくれるんでしょう。
最初は噛んだおかげで大パニックに陥ったけど、蓋をあければ本当にみんな素直な生徒で、大盛り上がりで担当の先生から「向こう5年間くらいやりたいです!」とのお言葉。よかった。ホッとした。
みんな緊張すんだよね。まずは1日目、お疲れ様でした。