ジョン・ナッシュが… | 渡辺修也オフィシャルブログ「雨ニモマケズ」Powered by Ameba

ジョン・ナッシュが…

今日の地震には驚いたけれども、個人的には地震以上に揺れたニュースがあった。

「ナッシュ」と聞くと二人のナッシュを思い浮かべる。一人はNBAの名ガード、スティーブ・ナッシュ。黒人ひしめくNBAの中で、ジョン・ストックトンの後の白人ガードとして活躍した名プレーヤー。

もう一人は数学の天才、ジョン・ナッシュ。

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(写真:Wikipedia)

このもう一人のナッシュが亡くなった。事故死だという。NBAの同じ天才で例えればマジック・ジョンソンが亡くなったようなものだ。それくらいの衝撃。

ジョン・ナッシュは数学界のスーパースター。17歳で大学に奨学生として進学。20歳でプリンストン大学院に応募した際に担当教官が書いた推薦状が「この男は天才である」というたった一行。21歳で後のノーベル経済学賞を受けることになる「『非協力』ゲーム理論」を確立。メチャメチャ早熟の天才。

しかしその後30年に渡り統合失調症を患うことになる。奥さんの献身によりなんとか治癒、その半生は「ビューティフル・マインド」のモデルになっている。「頭が良すぎるがゆえに気が狂れる」という天才のイメージもまたナッシュには当てはまり、私達が持つ「天才」の像を地で行くような天才だった。

そんなナッシュが事故で亡くなった。オスロの授賞式のあと、迎えのリムジンが遅れたために乗ったタクシーが事故に遭ったのだという。

やっと統合失調症から回復し穏やかな余生を過ごしはじめたというのに…月並みな話だが、本当に人はいつどう死ぬかわからない。あのナッシュでさえ、だ。

不謹慎を十々承知でいうが、一つ救いがあるとすれば…同乗していた奥様と共に旅立ったことだろうか。人類の遺産ともいうべき様々な発見をした天才と、それを支えた奥様の安らかな冥福を祈るばかりだ。