月と蟹
先日カンパニーの兼崎ひろみから本を借りた。道尾秀介さんの「月と蟹」。
面白かった。舞台も話も決して大きいものではない。二人の男の子と一人の女の子の小学生の夏の話なんだけど、細かい情景描写が本当に上手なのだ。奇をてらったような表現は一切なく、基本的な優しいことばで描かれているのだけども、それが本当に適切で、読んでいるうちに「ああ、そうそう、そんな感じ」と、自分の小学生時代の感覚を呼び起こされるのだ。
そして安易に感情を表す語句を書かない。
例えば悲しいという気持ちを表すのに悲しいとは絶対に書かない。悲しいとは本来、「悲しい」なんて一言で表しつくせるものでないので、悲しいなんて書いてしまったら、その気持は悲しいで終わってしまう、死んでしまうのだ。
それを細かく細かく周りの情景描写を重ねに重ねて、読み手がその感情を喚起するとこまで丁寧に書くのだ。そうすることで読み手の中に読み手だけの「悲しい」が浮かんでくる。舞台や他の表現もそうなんだろう。
本当に王道で上手い作家さんだな、勉強になった。
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そして安易に感情を表す語句を書かない。
例えば悲しいという気持ちを表すのに悲しいとは絶対に書かない。悲しいとは本来、「悲しい」なんて一言で表しつくせるものでないので、悲しいなんて書いてしまったら、その気持は悲しいで終わってしまう、死んでしまうのだ。
それを細かく細かく周りの情景描写を重ねに重ねて、読み手がその感情を喚起するとこまで丁寧に書くのだ。そうすることで読み手の中に読み手だけの「悲しい」が浮かんでくる。舞台や他の表現もそうなんだろう。
本当に王道で上手い作家さんだな、勉強になった。