天才?は身近に | 渡辺修也オフィシャルブログ「雨ニモマケズ」Powered by Ameba

天才?は身近に

天才の定義はいろいろとあると思いますが「新しい価値を創造する」ということもあると思います。

例えばそういった意味では夏目漱石なんかは言葉の天才であり、今僕らが使っている言葉の中には漱石がつくったものがたくさんあります。

「新陳代謝」「反射」「無意識」「価値」「電力」「肩がこる」「電光石火」「ひどい」「浪漫」「沢山」「兎に角」

などなど。英訳から生まれているものが多いと思いますが、それにしてもこれらを創ったというのはすごいと思います。

僕は文章を読むのも書くのも好きで、こうやってブログもやっているわけですが、実はそういった言葉という観点で僕が密かに憧れ、嫉妬し、そして自分の凡庸さに打ちのめされる人物が身近にいます。それはこの方。
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安島萌。
言わずと知れた我々音楽座ミュージカルのメンバーです。
彼女の言語体系はすごいです。言葉の創造ということではないけども、従来の枠組みを超えた意味での使いようは圧巻。彼女のブログ「Good MOEning」より種々のフレーズをみてみましょう。

・テンションが名残惜しいくらいにあがる
(名残惜しいってこういう風に使ってもいいのか)
・兎に角スキルをあげるために、やります!キリギリス!!
(なぜキリギリス?「スキル」と「やります」からの韻合成と思われる)
・そんなエビチリみたいな私ですから
(エビチリみたいな人間…想像を掻き立てられます)
・毎日が問い詰めカーニバル
(問い詰めという陰印象の言葉と、カーニバルという陽印象の言葉を組み合わせた極めて詩的な表現)
・取り戻せ我スペクタルハイヤー
(もはや不明。スペクタクルでなく、あくまで「スペクタル」であることに注意。誤植ではない。だがそれゆえに何かわからぬエネルギーが伝わる)

、、、毎回この調子で新しい文言が出てくるのですからたまりません。型にはまっていないというかなんというか。僕には真似できません。読むたびに絶望します。モーツァルトに絶望するサリエリってこんな気持なんでしょう。

フレーズだけ抜き出しましたが、実はこれでは魅力の半分も伝わりません。これらがで突如でありながらスムーズに、混沌を生みつつも秩序をもたらしながら文脈の中に織り込まれてくるのですから、やはり、唯一無二といってよいと思います。

ぜひみなさんも一度、萌のブログを読んでみてください。これは言葉のダダイズムです。

僕もよく谷川俊太郎さんだとか、吉野弘さんだとか、茨木のり子さんだとか、ブラックサンダーだとか、著名な詩やコピーを引用させていただきますが、その観点からみても彼女の言語感覚は秀逸です。

萌ってのはまあ、人間自体が面白いのですが。ちょっと眠くなったのでまた明日書きます。