秋の夜長に月の光
僕の部屋は築年数の経った非常に古い部屋ではありますが、南向きの窓際にベッドがあって、窓からはいつも月明かりが丸々と差し込んできます。枕元には真新しいJawboneの黒い小さなbluetoothのスピーカーがあって、iPhoneから音楽をかけています。
そんなことで、こんな光々と月明かりの 秋の夜長には、ベッドに寝転がって、この曲を頭越しにうすらぼんやりとかけて眠っています。
「月の光」 ドビュッシー
綺麗な曲です。
しかしまあ、今新作を創っているわけですが、作曲家というのはよくこんな美しいメロディが浮かぶもんだなと。考えてというよりも、ふと鼻の奥で流れてそのまま鼻歌で出てきてビックリするのでしょうか。だとしたら花粉症や鼻炎や鼻づまりの時は大変かもしれません。ドビュッシーはずいぶんと鼻の通りの良い人だったのでしょう。
まあ、鼻が通ったかどうかは知りませんが、こんな美しい曲を書くドビュッシーも私生活では相当にこじれていたようです。偏屈で内向的だったらしく、しかも不倫や情事など女性に関してはかなり大変なことになっていたそうです。この月の光も18歳の時から情熱を傾けたある婦人への歌曲がもとだとか。かたやバッハのように二人の奥さん(一人は死別)との間に20人の子を設ける人もいることを考えると、人間の道徳と美性は別のところに位置するのかもしれません。
いずれにしろ、どんなに古い小さな部屋だとしても、二つの美しい月の光に包まれて眠るというのは、それだけで人生はずいぶん贅沢なものだといえるのでしょう。