高梨沙羅選手にみる | 渡辺修也オフィシャルブログ「雨ニモマケズ」Powered by Ameba

高梨沙羅選手にみる

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スキージャンプの高梨沙羅選手(16)がとんでもないことになっている。もうW杯で6勝。あの日本人記録を持つ荻原や葛西にすんなりならんでしまった。まだ12戦目なのに。


僕は前に書いたこともあるが、地元は長野で肥満解消のためノルディックスキーをやっていた。北信の山奥においてのノルディックスキーというのは、ブラジルでいうところのサッカーみたいなもんだ。みんなやる。オリンピック選手もポコポコでる。僕にとってスキーといえば、エッジのない細い板で、坂を「上る」ものだった。

さて、ノルディックにはクロスカントリーとジャンプがある。僕はクロカンの方だったけど、部にはジャンプの先輩がもちろんいて、木島平にもジャンプ台がもちろんあった。

ジャンプ台はテレビでみると45度くらいの斜度に見えるが、実際立ってみると、ほとんど垂直の坂のようである。あんなところを飛んでいくなんて考えたくもないという気持ちになる。


そんなジャンプ競技で、海外の並み居る強豪を押さえて16歳の女の子がトップに立っている。
しかも、表彰台に立った姿をみると、小さい。本当に小さい。一番高いところに立っているのに、一番高くない。二位と三位の間に並んで立つと、あまりの凸凹さに笑ってしまう。痛快とはこのことだ。

前にちらっとニュースをみただけだけど、みんなが必死に「跳んでいる」なかで、一人だけふわっと踏み切ったら、あとはふわふわと紙飛行機みたいに舞っていく。まさに一人だけ「飛んでいる」のだ。身長151センチ、体重43キロ。年齢的にもう大きくならないのかもしれないが、今の小さな体躯が生み出している微妙なバランスのなせる業なのかもしれない。


体操やフィギュアスケートのジャンプなど、跳躍種目は特に若い時期の軽い体が有利とされる。
一人の人間の人生のうちの限りある瞬間の燃焼を、着地まで高々3秒にも満たない飛行のために日々の全てを費やすその煌めきを観れるというのは、贅沢なことだと思う。


ソチ五輪からは女子スキージャンプも正式種目になる。それまで高梨選手には軽々と飛び続けてほしい。楽しみだ。




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