さくら(茨木のり子さん) | 渡辺修也オフィシャルブログ「雨ニモマケズ」Powered by Ameba

さくら(茨木のり子さん)

熊本につきました。
この九州公演は毎回、桜が満開の時期に熊本に来ます。立派な熊本城が桜で彩られ、公演が終わった遅い時間にも、夜桜を見に少し足を運べます。暗いので写真には綺麗に写りませんが、これは写真にしてしまっては、、という気もします。

さて、ふと思い出したのですが、茨木のり子さんの詩に「さくら」というのがあります。



ことしも生きて
さくらを見ています
ひとは生涯に
何回ぐらいさくらをみるのかしら
ものごころつくのが十歳くらいなら
どんなに多くても七十回ぐらい
三十回 四十回のひともざら
なんという少なさだろう
もっともっと多く見るような気がするのは
祖先の視覚も
まぎれこみ重なりあい霞だつせいでしょう
あでやかとも妖しいとも不気味とも
捉えかねる花のいろ
さくらふぶきの下を ふらふらと歩けば
一瞬
名僧のごとくにわかるのです
死こそ常態
生はいとしき蜃気楼と

(さくら)



もう、最後の二行が圧巻。確かに死んでる時間の方が圧倒的に長いですからね。
自分もあと何回桜を見るのかなと考えたりします。
見終わったあとは、桜の下に眠りたいもんです。いつか死んだ時は、お墓の代わりに桜でも植えてもらうことにしましょう。


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