(初回限定生産)ブレードランナー The Film Vault collection(4K ULTRA HD&ブルーレイセット)スチールブック仕様(4枚組/豪華封入特典付)[4K ULTRA HD + Blu-ray]
Amazon(アマゾン)
めちゃくちゃ貴重な「ブレードランナー」を味わう機会を頂いた。
1982年公開当時のフィルムをデジタイズしたもの。
フィルムノイズや音飛びがメチャクチャあるが、そんなのどうでもいい。
むしろ、ものすごい迫力に圧倒される!
まるで「スター・ウォーズ劇場公開版」が、それ以降のバージョンよりも粗削りな迫力に満ちていたように。
「ブレードランナー」の魅力って、とにかく圧倒的な映像体験なんだよね。
これに尽きる。
鳴り響くヴァンゲリスの劇伴で凄みを増した映像!
この35㎜には、確実にこの”凶暴さ”が充満している。
乱暴に言えば、ストーリーなんかどうでもいい。
「とにかく映像のシャワーを浴びやがれ!」
そんな勢いを、この「35㎜ブレードランナー」にはヒシヒシと感じた。
意外だったのは、フィルムの場合は、現行のソフトや配信よりも画面が明るかったんだね。
色味は、全体的に退色が否めないけど、バリバリに明るい映像に驚いた。
今のファイナルカット版は、絶妙に調整された色調だが、この粗削りな35㎜も、これはこれでとても良い。
ちなみに、今回拝見させていただいたこのバージョンは、タイレルの眼球を潰す残酷シーンが削除されているアメリカ国内版だった。
公開当時の日本には、残酷描写のある版と無い版の両方が入ってきていた。
名画座で観る時に、「今回はどっちか」考えるのが楽しかった。
とにかく素敵なひと時をくださったTKさんには、「限りない長寿と繁栄を」。
そして、「フォースと共にあらんことを」。
さらには、「これだけでも十分ですよ!」
まさか、こんなにコーフンするとはね!
ちなみに、キャプチャしたブラスターをブローアップにしてみた。
左側面のモールドがかなり分かる!
当時に、これだけの映像があれば造型師の皆さんは(少しは)楽だったのかしらん??
【深堀菜美の映画ひとくちメモ】
今回紹介した、「ブレードランナー劇場公開版」は、以下に案内したUHDソフトのボックスセットで観られるよ。
あらゆるバージョンが入っているから比較してみてね。
ちなみに、シュウさん曰く、今回観た35㎜版に一番近い印象だったのは、「ワークプリント版」だったそうだよ。
粗削りな部分が特にそう思えたんだって。
「ワークプリント」も、このセットに入っているから、良ければ観てね!
10月26日に行われた「スター・ウォーズ ジェダイの復讐を愛でる会」。
これは、1983年に公開された「スター・ウォーズ ジェダイの復讐」のイベントなんだけれど、超マニアックなのは、日本テレビ系列で放送された吹替版についての研究発表会だったこと。
この吹替版は、1988年10月21日に初放映された。
ルーク役が水島裕、ハン・ソロは村井国夫、レイア姫は島本須美という布陣で、オープニングクロール文には、城達也の渋いナレーションがついており、「スター・ウォーズ」の吹替では最高峰との呼び声が高い内容と言われている。
この吹替の魅力について、皆で語り合うという、中々スゴイ内容だった。
そんで、今回の主役は高校生のハル君!
彼は、「ルーク=水島裕」の吹替版への愛着が凄く、彼の熱い想いをたっぷりと聞いた。
ちなみに、放映当時、ハル君は生まれてすらいないのに、なぜ知っているのか?
ソフト化すらされていない幻のバージョンなのに。
実は、ハル君は、叔父さんの録画コレクションで水島裕版を知ったという。
前半戦では、参加者による「ジェダイの復讐・日テレ吹替版」についての熱い思いやここがポイントという部分の発表などが行われ、後半戦では、吹替に詳しい超大物ゲストによる、「スター・ウォーズ」の吹替裏話や、他の洋画やアニメについての吹替の過去と今が語られた。
ちなみに、「スター・ウォーズ」旧3部作には、 数々の吹替があるが、ハル君曰く、水島裕さんが、一番ルークの心情に迫った吹替だと言っていた。
また、吹替に詳しい大物ゲストの方は、「【スター・ウォーズ】ep4〜ep6のルークは、決して幸せじゃなかったと思う」としみじみ仰っていた。
ルークは、育ての親を帝国に殺され、実の父すら帝国に寝返り対決を余儀なくされる。
さらに実の妹にすら、ダークサイドの魔の手が伸びようとする…。
なんとも言えない生き様だと。
だから、人々が共感できるキャラクターだと。
ルークの人生なんて、考えたことが無かったから、ちょっとビックリした。
イベントの前に、僕も改めて、過去に録画した「水島=ルーク」版の吹替を観直したが、大物ゲストに指摘されてから、もう一度観なおした。
確かに、水島裕版のルークは、この辛い生き様を上手く表現していたと思う。
特に、皇帝からダークサイドに誘われるシーンでは熱い!!
皇帝
「憎しみが力を与えたのだ。さあ、定めに従うのだ。そして父に代わり、余の側に仕えよ。」
「決して、決してお前には仕えない。お前の負けだ皇帝。僕はジェダイだ。かつて父がそうだったように。」
もうね、感涙ですよ。
これまで苦難の連続で、たった今ですら、父であるダースベイダーの手首を切り落とすという、辛い戦いを強いられたルーク。
その彼が、振り絞るように、だが決然と、皇帝の誘惑をはねのける!
この演技は、水島裕版ならではなのかもしれない。
これまで、神谷明版(ドラマレコード)、奥田瑛二版(1980年「帝国の逆襲」と82年「新たなる希望」)、島田敏版(DVDソフト)など、数々の名優がルークの声を演じて来た。
だがソフト化されていない物が結構ある。
色々な制約や権利関係があると思うが、人それぞれ「推しの声」がある。
是非ともソフト化が待ち望まれる。
最後に、イベントには、多くの方が参加してくださるが、毎回皆さんがコレクションを持参して、イベントに華を添えてくれる。
今回も、「ジェダイの復讐」にちなんだフィギュアを並べてくれたオクデ君(なんと参加者向けの1名様プレゼントまで用意してくれた!)や、毎回、ミニチュアの看板やイーゼルを作っては飾ってくださるオチャさん、そしてハル君自ら、公開当時のパンフレットを並べてくれた。
このパンフレットも、もちろん叔父さんから譲り受けたものだとか。
ちなみに、これ↓がオチャさんが今回作ってくれたミニチュア看板。
吹替が金曜ロードショー枠だったから、まさかの番組ロゴまで😁
実は、オチャさんは完全なるお遊びで、昔懐かしい映画のチケット風の案内状を作って、参加者に配ってくださった。
ホンモノのチケットみたいでテンション上がりまくり!
本当なら、本編をレストアして、上映出来たら良いんだけどね…😅
皆様、本当にありがとうございます!
そしてお疲れ様でした!
映画「ブレードランナー」のビジュアル面を支えてきたアーティストを紹介する2回目。
今回は、コラージュポスターとして、海外でも認められて使用された、日本版のポスターから。
僕は、この「ブレードランナー」の日本版コラージュポスターは超好きだ!
手掛けたのは、業界のヘビーウェイト、檜垣紀六さん。
スピナーもタイレル社も切り貼りで合成され、デッカードとブラスターも切り貼りでひとつに。
レンズフレアも後で追加された。
未来感マシマシ!
スピナーが惜しげもなく飛んでいる!
僕は、1982年の公開当時、このビジュアルに”ヤラレて”しまい、今でもこのイメージが僕の根底にある。
檜垣さん曰く、「ブレードランナー」のポスターのデザインコンセプトは、「打倒スター・ウォーズ」だっとという。
「スター・ウォーズ」が青だから、「ブレードランナー」は金色のデザインにしたんだと明かしてくださった。
また、映画会社から送られてくるポスター用の素材はなかなか良いものが無いとの話。
「ブレードランナー」の場合も、レイチェルのカットに良いものが無く、本来なら、銃を構えるレイチェルの写真は左向きの物が欲しかったらしい。
構図的に、左を向かせた方が収まりが良いからで、右向きだと、構図が”外に開きっぱなし”になるから、カッコ悪いと。
そこで、反転させてほしいと映画会社に相談したら、「絶対ダメ」との返答。
仕方なく、右向きのまま使わざるを得なかったと仰っていた。
また、檜垣さん曰く、銃を上手く見せるコツは、銃を握っているこぶしを人物の顔より小さくしないこと。
顔よりこぶしが小さいと迫力が無くなるそうだ。
確かに迫力あります。
以前、檜垣さんに見せて頂いた、貴重なロゴのオリジナル。
レプリカント達は宇宙から来るので、ロゴは末広がりにしたという。
ここにも、檜垣さんなりの哲学と論理がある。
ブレードランナーのタイトルは手書き。
よく見ると、修正跡が分かると思う。
お次は、「ブレードランナー」のモンドポスターの最高峰の一つが、タイラー・スタウトの作品だ。
緑と赤の2種類あり、すぐに売り切れる超人気作。
かつて、映画仲間のポスターコレクター、Postermanさんは語った。
「ここには『ブレードランナー』の全ポスター中、最も多くの情報が詰め込まれている。
これほどまでに詰め込むのに必要とされるのが、並外れた描写力であるのは勿論だが、このポスターがテクニックを超えたところで輝いているのは、これがタイラー・スタウトという男による「ブレードランナー論」になっているからだ。
中央に描かれた瞳が、何よりもそれを物語っている。
スタウトのイラストにはオマージュやリスペクトを超えた冷徹な目がある。」
奇しくも、僕が最初に作った、DVD版「ブレードランナー 究極試写版」の盤面ラベルが、タイラー・スタウトのモンドポスターを、更にコラージュしたものだった。
モンドポスターは、いわゆる2次創作的な意味も含有しているから、このバージョンにはうってつけのイラストだった。
ネットで偶然発見した時は、本当に「これだ!」と思ったものだ。
まさか、”勝手に”ダウンロードさせてもらったのがPostermanさんのHPだったとは…
あとから知ってビックリした。
懐かしいデータを採掘した。
これが、「ブレードランナー究極試写版」初期DVDのパッケージデザイン。
デッカードのスピナーがタイレル社へ向かい場面で、こちらに向かってくるスピナーを捉えた印象的なシーン。
フォトショの技術が無くて、一枚勝負のデザインだった。
懐かしいデータ採掘。その2。
「ブレードランナー究極試写版」初期DVDのパッケージデザイン。
ジョン・アルビンのポスターを使ったバージョン。
ちょっとだけフォトショの技術が向上。
懐かしいデータ採掘。その3。
「ブレードランナー究極試写版」初期DVDのパッケージデザイン。
ドリュー・ストルーザンのポスターを使ったバージョン。
デザインが楽しくなってきたが、まだゴールが見えていない。
懐かしデータ発掘その4ー1
「ブレードランナー究極試写版」DVDのパッケージデザインの最終形態。
これはオモテ面。
イギリス版コラージュポスターをベースに、ブレードランナーのロゴは、敢えてスリットを無くした。
究極試写版は、あくまで”構想最初期のブレードランナーの復元”だから、ロゴも未完成にした。
懐かしデータ発掘その4ー2
「ブレードランナー究極試写版」DVDのパッケージデザインの最終形態。
これはウラ面。
文言はこれまでとほとんど同じ。
注目すべきは上映時間。
これまで2時間30分25秒だったが、ここで22秒増えている。
パッケージの改訂だけでなく、編集自体も地道に続いていたのだ。
懐かしデータ発掘その5
「ブレードランナー究極試写版」これはブルーレイパッケージのデザイン。
デザインを巡る旅も終盤。
DVDからブルーレイになり、イチからデザインをやり直し。
大都会の真ん中でレプリカントを見失い途方に暮れるデッカードを全面に。
構図優先で、オモテを左にした異色のデザイン。
懐かしデータ発掘その6
「ブレードランナー究極試写版」ブルーレイパッケージのデザイン。
ブルーレイになった段階で、さらに尺は伸び、2時間33分25秒に。
ショーン・ヤングが来日した際、パッケージにサインしてもらったのは良い思い出。
さあ、長かった「ブレードランナー究極試写版」の旅も、もう少しで終わる。
現在編集しているバージョンは、さらに少し尺が伸びて、正真正銘の決定版になる!(と思う。)
【映画ナビゲーター深堀菜美のひとくちメモ】
檜垣紀六さんの画集は、以前、クラウドファンディングで制作されました。
いまでも購入できるんだね。
良ければ、購入してみてね~。