初めての出会いは特になにもない平凡なものだったはずなのに・・・

いつからか私は彼のことを目で追い出した。

入学以来、会話なんてほとんどしたことはない。 精々(せいぜい)、挨拶を交わす程度の間柄だろう

なのになぜかあなたのことが気になる。

今日も昨日もその前の日も・・・

どうしてだかはわかっている。


きっとこんなに胸を鷲づかみにされるような思いは・・・

そのことに気づいて以来、もっともっとあなたのことが気になって・・・

だから私は今日もあなたを見続ける。 見守り続ける。


どこまでもどこまでも・・・

あなたの行くところに あなたのいるところに

あなたにこの胸の思いを伝えるそのときまで・・・

いつまでもいつまでも・・・


でも、それだけじゃ足りなくて・・・ あなたの声を聞きたくて・・・

でも、話しかける勇気が出なくて・・・

何を話せばいいのかもわからなくて・・・ 途方にくれてしまう・・・


私はどうすればいいのかわからず途方にくれて顔をふせてしまう

そんな私を見ていたのか 彼は私に近づいてくる

ゆっくりと確実に・・・

やがて彼の足が視界に入り私は ハッ っと顔を上げて彼を見つめる


彼は今までに見せたことのない表情を私に向けていた

笑顔を浮かべて笑っているようなのにとても困っているような表情を浮かべていた

そんな彼に私はどうしていいのかわからず

その場で身を引きながら縮こまってしまう。


彼がどうしてそんな表情をしているのかわからなくて怖かった

でも、逃げ出すなんてできない

どんな理由であれ憧れだったあの人が今、私を見ている。

私を見つめている。 その上、近づいて来てくれているのだ。


逃げることなんてできない。 むしろ今が絶好のチャンスでもある。

あの人にこの胸の思いを・・・


「あの、ココ男子トイレですけど・・・」

彼のその何気ないその一言に私の頭はフリーズした。 世界が停まり 思考が留まり 時間が止まった

彼だけを見続け他のものを一切気にしなかった私はなんと男の絶対領域に突入していたのだった。


そのことにようやく気づいた私はその場から全力で逃げ出した。

わき目も振らず全力で・・・

力の限り逃げただした。


きっと変なやつだと思われただろう。

嫌われたかもしれない。

そんな思いが頭の中でグルグルと回りだす。

それを振り払うためにも、私はその場を全力で逃げ出したのだった。


続くかもしれない。