『月刊社労士 2011年7月号』(発行:全国社会保険労務士会連合会)より

 

労務監査の実務(2)

 

『月刊社労士』の 2011年5月号、6月号で、事例で見る社労士業務という特集で掲載されていた労務監査をテーマにした記事を紹介しましたが、今回はその最終回です。内容は、実際の労務監査の実務内容です。昨日に続き、監査の流れとチェックリストについてまとめてみました。

 

1.監査の流れ

労務監査を全体としてどのように進めたかの流れが行程表的に示されています。

 

 1)監査対象企業との監査事項の打ち合わせ

 2)企業の業績・財政状況、その他諸情報の把握

 3)企業理念(社長の考え方)

 4)組織・職務分掌・職務権限等の把握

 5)諸規程類の事前監査

 6)対象企業への資料提供依頼

 7)対象企業の労務上の問題点の事前聴取(準備作業)

 8)具体的監査実施(チェック作業)

 9)担当者への聴き込み(問題の分析チェック)

 10)現場の監査

 11)本社部署の監査と本社部署への報告

 12)報告会と報告書作成

 

11)の本社監査は各事業所を監査した後、最後に行うそうです。各事業所で起きている問題を本社が把握していないこともあり、最後にその問題解決を本社に促すわけです。10)の現場監査の考え方は大切で、問題は現場に転がっています。「事件は会議室で起きているのではない」ですね。現場を見る回数が増えるほど、現場での問題発見に習熟できるそうです。8)のチェック作業で使用するチェックリストは次項のとおりです。

 

2.チェックリスト

とりあえず、大項目を挙げてもこれだけ出てきます。

 ① 経営理念・社員の行動規範

 ② 雇用管理

 ③ 就業規則その他諸規程

 ④ 労使協定

 ⑤ 労働保険・社会保険

 ⑥ 労働時間

 ⑦ 人事制度

 ⑧ 教育訓練

 ⑨ 賃金制度

 ⑩ 男女雇用均等法関係

 ⑪ 安全衛生管理体制

 ⑫ 個別労使関連の状況

 ⑬ 個人情報保護法関連

 ⑭ 機密防衛対策

 ⑮ 下請会社・関連会社への派遣

 

最近増加の傾向があるうつ病とかの疾病を考えると、⑪は重要ですし、その関係で個別労働紛争などに発展すると、⑫も大切な項目だと思います。それから機密情報の扱いとして⑬、⑭の面も会社としてはしっかりチェックしてほしい項目ではないでしょうか。

 

個人的に興味があった労働保険・社会保険のチェックは⑤に出てきます。ただし、内容は「諸事務が的確に処理されているか」だけであり、実際にチェックするにはこのレベルから2段階、3段階詳細化したチェックリストを用意しないといけないのですね。

 

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