厚生年金保険 - 60歳の選択(16) - 再就職するときの手当 ②

 

60歳の選択」と題して、定年退職を迎えようとしている高年齢者の方に向けて老齢厚生年金を中心とした老齢給付と、それを受給する際に関係してくる雇用保険の求職者給付と雇用継続給付などについて解説しています

 

連載の16回目は、雇用保険で準備されている基本手当以外の手当として、高年齢雇用継続給付金を取り上げます。

 

2.高年齢雇用継続給付金

高年齢雇用継続給付金とは、雇用保険の雇用継続給付として用意されている制度です。具体的には「高年齢雇用継続基本給付金」と「高年齢再就職給付金」という2つの給付があります。両方とも60歳以上の被保険者を対象としており給付内容もよく似ています。「高年齢雇用継続基本給付金」は登場済みですので、そちらを簡単にまとめ直した後、「高年齢再就職給付金」を説明します。

 

(1)高年齢雇用継続基本給付金

これまでに在職老齢年金との併給調整で何回も出てきた給付金です。賃金額が、次の①または②に該当する日を離職の日とみなして算定した賃金額の75%を下回った場合に支給されます。

 

 ①被保険者であった期間が5年以上ある被保険者が60歳に達した日

 ②被保険者が60歳以上に達した日後被保険者であった期間が5年となった日

 (被保険者の期間が5年以上必要ということですね)

 

給付の名称に「雇用継続」とある通り、60歳後も継続して就職している人が給付の対象になります。ただし、いったん退職して基本手当を受け取らず1年以内に再就職した場合でも高年齢雇用継続基本給付金を受給できます。

 

(2)高年齢再就職給付金

基本手当の支給残日数を100日以上残して1年以内に再就職した場合に支給されます。賃金額が75%を下回った場合に支給されるところは、高年齢雇用継続基本給付金と同じです。給付金の金額も同様で、賃金額の最高15%となっていますが、給付の期間が異なっており、次の通りです。

 

 ・基本手当の支給残日数を100日以上、200日未満・・・1年間

 ・基本手当の支給残日数を200日以上・・・2年間

 

上記の支給残日数の要件を満たせば、前回説明した「再就職手当」の要件も満たすことができます。そのため、再就職手当を受給した場合は高年齢再就職給付金を受給できません。

 

年金の話で連載を始めたのですが、ここ何回かは雇用保険の話になってしまいました。ついでにもう1回だけ雇用保険の話をして一区切りつけたいと思います。

(*平成21年10月1日現在の法令を基準にしています)