音楽は、言葉や文化の壁を越える


個が主張するだけでは音楽にはならない

協調によって、音楽はより強くなる

4万年前から地球はファーレによって

守られていた




ここからネタバレです
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  のび太の地球交響楽


今回の映画は、派手なアクションはありません

美しいファーレで厄災に立ち向かいます

互いを生かし合おうとする協調(ハーモニー)がファーレの力を強める

地球はファーレに満ちている









  劇場でしか体感できない音響


地球交響楽は、劇場での鑑賞を強くおすすめします

とにかく音響がすごくて、まるでコンサートのような感覚なんです

音楽が好きな人なら是非劇場の音響で体感して欲しい

オープニングの音楽の歴史から、世界観に惹き込まれると思います

音楽のシャワーを沢山浴びて欲しいです

劇場で見ないとこの映画の良さは半減してしまいそう





  音楽の世界を視覚的にも表現


この映画では、音楽(ファーレ)を視覚的にも楽しめるよう、映像効果が施されていました


この音には結晶のようなファーレ
あの音はシャボン玉のようなファーレ

子供でも楽しめるファーレの視覚効果がとても面白い

画面がファーレで満たされた時の美しさも胸熱です





  のび太のリコーダー


のび太のリコーダーは常に少し高いキーで、尚且つ時々「の」の音が出ます

しかし、のび太の運命の楽器は苦手なリコーダーだった

音階にはない「の」の音が無限の可能性に繋がった


こっそりリコーダーの練習をする姿や、
あれ程嫌がっていたのに
「リコーダー、うまくなりたい」
と後半で言わせる伏線が素晴らしいです








  協調

この映画では、アンサンブルから始まってオーケストラまで、段々ハーモニーができあがる快感を体験できます



物語中盤で「協調」を体験したみんな

以後彼らがのび太に不満を言うことはなくなります


ずっと独りだったミッカが
「みんなで歌うと楽しい」
と言うシーンも、映画を見終わった後でじわっと染みてきます







  しずかちゃんが第二指揮者だった


じつは映画を見るまでは、しずかちゃんの楽器はピアノ(弦楽器)だろうと勝手に思い込んでました

が、驚くことに、しずかちゃんは副指揮者といわれる打楽器担当だったのです

物語のポイントポイントで、しずかちゃんが問題を解決する名指揮者となるシーンがあるので、音楽を好きな人はそこも胸がいっぱいになるのではないでしょうか









  新しい挑戦となる映画

地球交響楽は、
「冒険して、事件に巻き込まれて、解決!」
というよくあるドラえもんのストーリーとは少し違っています

メッセージ性とミュージカル性を感じる、新しいドラえもんという印象です


それ故、刺さる人にはグッと来るけれど、王道を期待した人はがっかりするかもしれません


しかし、藤子・F・不二雄先生がもし今も生きていて、この映画をご覧になったら、間違いなく喜んでいたと私は断言します


藤子・F・不二雄先生の名言には、このようなことばがあります


    

遊びを通して学ぶことが、

むしろ、本当に

身になる勉強法ではないかと思います




    

自信と劣等感とは、

矛盾したパワー、エネルギーです。


しかし、この両方を

一人の心の中に

バランスよく持ち続けていくということは、

漫画のみならず、

作品を描く人間にとって、

とても大切なことだと思うのです




    

最低、身に着けてほしいのは

硬直しない柔軟な考え方です。


一面にしか物事を見られない。

そんな人間だけにはなってほしくない。


そのための一つの方法として、

乱読させています。

いわゆる良書に限りません。


世の中には、様々な世界があり、

色々な人たちがいて、

それぞれ違った考え方、

生き方をしているのだということ。


それを分かってほしいと思うのです




これらの藤子・F・不二雄先生のメッセージが、この映画ではしっかり表現されています




  今回の敵は荒神


ドラえもんといえば
大いなる敵がいたり、敵には敵の正義があったりしますが、今回の話はそれがありません

そこも人によってはがっかりポイントかもですね



今回の相手は、本能のままに動く厄災
スズメの戸締まりのミミズのようなものです


善悪もなく、ただ本能のままに動くノイズを唯一倒せるのは、音楽の力のみなのです


それはまるで日本神話の荒神のようで、神を鎮める為に音楽を奏でているようにも見えました


ムシーカのファーレと、地球のファーレ
みんなの力でノイズに立ち向かうクライマックスは感動の一言です

地球の音楽援軍が参戦する前に、ドラチームが最高のファーレを奏でます
その時に、黒須克彦「夢をかなえるドラえもん」のメロディー第一フレーズの変奏が入るのは、ドラえもんファンにとって堪らない演出でした









  エンディングはさらっと


今回のエンディングには、涙涙のお別れシーンはありません


さらっとその後が描かれるので、好みが分かれるところと思います


私はもっと泣きたかったかな~



エンディングで大きく取り上げられてはいませんが、ミッカの部屋にのび太らの大事なおもちゃがあります

彼らが自分の宝物をミッカにプレゼントしていることが解ります



また、学校でリコーダーを吹くシーン

のび太は相変わらず音を外して「の」の音を出していますが、完璧に演奏できることだけが音楽ではないし、上手くなることがゴールでもないことが読み取れます






以上、私のレビューでした


ドラえもんたちが奏でるシンフォニー

素晴らしい音楽体験を、是非映画館で堪能してください