望月峯太郎が書いた漫画を映画化した作品。一目ぼれした女の子の気を引くためにあっさりとバイク仲間との縁を切り、女の子と同じ水泳部に入部し、その子の気を引くためにオリンピック出場を目指して猛特訓する話だった。面白いのは、オリンピックに出なくても、同じ部活に入部しなくても、バイク友達と縁を切らなくても、その子にアピールする方法は色々あるのに、それらの無駄なことを主人公のカオルがしないわけにはいかないところだ。自分の世界に酔っていて、「愛している」というような気障なセリフを好み、好きであるが故に、相手を見失い、自分も見失う。オリンピックを目指してしまうのは、直接好きだと言うのが怖いからなのだろう。
一方、高岡早紀演じるソノコもなぜか過食が止まらない。ソノコはカオルのことが途中から本当に好きになるのだけど、その気持ちを否認し、認めない。自分の机の上にカオルの写真を置き、画鋲でその顔を刺してしまうとき、その鬱屈した感情の裏には、カオルへの好意が隠れている。自分の気持ちを受け止めることができたとき、彼女は過食を止めることができた。
でも、そういった不器用さというか、自分自身を持て余している様子が、カオルといい、ソノコといい、とても見ていてじれったくて、つい応援してしまうのだ。この映画は、思春期に私たちが感じるあのどうしようもない他者への憧れと、気持ちが通じないかもしれないときの不安を私に思い出させてくれた。
最後に、この映画では筒井道隆さんの名演が光っている。しかも、その表情をきちんとカメラに収めている。土手のシーンが多く、緑に輝く夏の雑草がプールの青さと美しいコントラストを見せている。1990年制作の映画だが、今から30年以上前の夏の景色がフィルムに保存されていることに、私は驚きと懐かしさを覚えた。
