「久しぶり~!」「変わったね~!」「変わらんやん!」満面の笑顔が飛び交う。

 毎年1回、二男の卒業した特別支援学校分校高等部の同窓会が行われている。
 平均すると6~7名の在籍という小さな学校規模だが、これまで12年間の卒業生は約80名になっている。二男はその4期生、同級生は5人である。たまに親同士が知り合いであり、一緒に親の会活動を続けてきた友だちに合う程度で、他の人とはほとんど会うことはない。

 この同窓会、実は特別支援学校の先生方から提案・お膳立てしてもらい、卒業生の保護者が裏方に回って行われるもの。卒業生はみな障害があるために自分たちで企画や準備、進行することが難しいためである。
 場所は校舎で行われてきたが、人数が増えてくるにつれて入りきれなくなり、現在は自治体の住民センターを借りて半日日程で開催されている。
 でも、順風満帆というわけではない。最近はコロナ禍で中止の年があったり、自主的にまたは就労している事業所の意向で参加を控える方があったり、また、どの同窓会もそうだが、気持ちはあってもなかなか行く気になれない方もいたりしている。

 同窓会に先立ち、まず始めに総会。会務・会計報告から始まるが、すぐに終わる。
 それから同窓会会長挨拶(第1期生、卒業以来ずっと彼が率先してしてくれている)をスタートに、記念写真撮影から始まる。保護者も含め大人数で、全員がカメラ目線になることは難しく、あっち向き、こっち向きしてやり直しで時間がかかるが、それもご愛敬。

 次に近況報告と自己紹介現在のそれぞれの就労や生活、余暇の様子をできるだけ本人の口から言えるように導いていく。(なぜか、二男の卒業以来、私が進行を担当している)一般就労したり、福祉就労したり、生活介護だったりと様々であるが、笑顔で照れながらもそれぞれの言葉で報告する姿がとてもいい。なかなか言い出せない場合は私から質問をしてアシストしたり、同席している保護者の方が補足したりということもある。だが恥ずかしがりながらもそれぞれが笑みをこぼしながら伝えてくれている。結構長い時間がかかるが、とても楽しいひとときである。私は司会進行としてマイクを持ち、ツッコミなどで盛り上げさせてもらっている。

 それが終わるとレクリエーション、以前はビンゴゲームをやっていたが、できるだけいろいろな人と話ができるように、同じような趣味等を持つ者同士を集めたゲームなどもやってきた。最近は「ボッチャ」。グループ対抗で真剣勝負のはずなのだが、ハプニング続出で、一投ごとに楽しい笑いが起こったりして和気あいあいなのがいい。勝ちチーム順位毎に賞品を早取りしていくが、金額は同じようなもので日用品や食べ物、チューハイなどのお酒があったりもする。

 毎回2時間程度で終わるこの同窓会だが、終わってからの時間もいい。
 解散の時間になるのだが、なかなか帰らないことも多い。二次会をすることはないようだが、会場の外で延々と親しく話をする姿もいい。それも同窓会なのだろうとも思う。皆ずっと笑顔である。

 毎年、二男は大変楽しみにしている。最後の方まで残ってなかなか帰ろうとしない。同級生との再会だけでなく、世話をしてもらった先輩や後輩(?)たちにも優しく声をかけてもらえるからである。帰ってからも「○〇のおった。来とった!」「楽しかった!」をその日一日ずっと私や妻に言っている。グループホームに戻ってからも職員にも言っているそうな。私にとってその表情を見るのも嬉しい気持ちになる。

 この同窓会、実は私にとっても大変心待ちにしているイベントでもある。ここの分校高等部の立ち上げに障害のある子どもの親の会として動き、開校の時からかかわってきたものだから、その卒業生の元気に過ごしている姿を感慨深く見ている。また、この子らに話しかけ、顔を覚えていることも多いので、懐かしい顔に再会し近況や悩みを聞くこともしている。だから、かなりの数の卒業生の人たちを私は知っているし、知ってもらってもいる。教員時代の教え子はもとより、仕事である相談支援専門員として担当している人、担当でなくても様々な施設や事業所に出向き、再会した時には喜んで話しかけたりしてくれる人もいる。
                                                                          
 この先いつまで続くかわからないこの同窓会だが、我が子や卒業生の笑顔の時間をできる限り確保してあげたい。楽しめるひとときのためにお手伝いをさせていただきたいとも思っている。

 同窓会、そういえば十年以上開いてないなあ!
 自分の同窓会も久しぶりにやってみたいし、参加したい。実は自分も来年は還暦を迎える。何人かの友だちを募って企画してみるのもいいのかもしれない。何十年もの時を遡って若かりし日々の思い出を共有するひとときを提案してみようっと!