よく「歯石を取ってほしい」
というのが来院目的の患者さんは少なくありません。
歯石がついているとすればそれは単に
「すっきりするから」
「きれいになるから」
という理由で私たち歯科医療者は行っているわけではなく
「歯周病の改善のため」に行っています。
歯石をいっても歯肉の上に軽くついている歯石は
どんな歯科衛生士が施術してもそう大差は出にくいかもしれませんが
歯肉の奥深くについている歯石は高い技術力が求められます。
歯周病が進行している患者さんの歯石取りはかなり難易度が上がります。
ただし、歯科衛生士の業務範囲を超える歯周病のケースの場合は
歯周病の治療経験が豊富にある歯科医師による
歯周外科処置が必要になります。
医科であれば内科、皮膚科、眼科など
専門の科を選んで医院選びをされるかと思いますが
実は歯科にも専門とする科、
専門と表記ができない分野ではあるものの歯科医師によって得意とする科があります。
入れ歯、歯周病、根管治療、歯の削り方、噛み合わせなどになります。
私が30年以上歯科に携わってきて、特に根管治療は歯科医師によって違いが大きいように感じます。
↓こちらは33に歯肉の発赤が見られます。
プラーク(歯垢)を取り除くために歯ブラシを当てたところです。
当然炎症があるので出血します。
健康であれば出血はしません。
歯周ポケットは8ミリもあります。
健康だと2、3ミリです。
歯肉を抑えると膿が出てきます。
↓〇印のところです。
歯石が残っていることは確かなのですが
黒いがっちりした歯石が強固に沈着しているかと思いきや
そこまで大きくはない歯石が点状にありました。
おかしいな、、、と思って患者さんに尋ねてみたら
「少し前に他歯科医院で歯石を取ってもらった」
「その時女性の人がずっとここを扱っていた」
とおっしゃったのです。
その歯科衛生士さんはがんばって歯石を取ろうとしたのでしょう。
歯石がついているのがわかって一生懸命歯石を取ろうとした形跡はあります。
もし当歯科医院の歯科衛生士であればフォローをして声をかけるところでした。
歯周ポケットが8ミリだとキュレットスケーラー(歯石を取る器具)の
シャープニングができていないと切れないので歯石は取れませんし、
ここまで深いところの歯石を取ろうとすると
痛みを伴うと想像できるので麻酔をしていないと
少しでも患者さんが痛がってしまうとやむを得ず
途中で止めてしまうこともあるかもしれません。
これはどういう状態かというと
↓
歯石が歯肉縁下に残った状態で歯磨きをすると
右の図のような状態になっていると考えられます。
↓歯石を取り除いた後の歯肉。
引き締まっているのがわかりますか?
近心はもう少しですが、、、
この後再度チャレンジしました。
歯周ポケットは3ミリになっています。
歯肉が改善したということはどうなっているかというと
↓
右の図のような治癒形態になっていると考えられます。
ただし、大切なのは改善した後の患者さんによる
毎日の歯磨きです。
歯科衛生士歴30年を超えた今でも
歯石取りといってもなかなか難しいものだと実感します。
当歯科医院では歯周治療は歯科治療の基礎となる重要な治療なので
今後も真摯に取り組んでまいります。