市民活動として広がりつつある「子ども食堂」ですが、子供も親も交流できる「居場所」として、仙台市内の各地域で広がっています。仙台市では、現在34団体と、増加傾向にあり、大変素晴らしいと思う反面、それだけニーズがある現状に、愕然とします。
特別な子供のための食堂との印象を超えて、地域の人たちも含め、幅広く気軽に参加できる、そのような場であってほしいと考えます。子供たちが勉強や遊びを通じて安心して交流できる場所であることはもちろん、例えば働く母親にとっても安らげる場所になればよいと思います。彼女たちは常に時間に追われており、ごはんの準備が少し休めるだけでも大きく気分転換になると思います。また、貧困状態の高齢者の方々も、参加できれば心のよりどころになるかもしれません。その意味で、場所によっては「子ども食堂」ではなく、「地域食堂」との名称を使用しているところもあると聞いています。名は体を表すといいますが、参加者の幅の広さを考えますと、地域食堂という名前でもよいかもしれません。
現在はだいたい月1、2回ほどの開催にとどまる「子ども食堂」ですが、必要な時には柔軟に、回数を増やしても良いと考えます。例えば、長期間の休み中、給食を食べられないことで、やせてしまう子供がいると聞きます。これは、まさに子供の貧困問題の最前線の話です。将来を担うべき子供たちが、この豊かな日本で、このような状態におかれてしまう現状は、社会的通念上も許されないことだと思います。この問題の解決は、まさに私たちの社会のありかたそのものを問われています。こうした子供たちの夏休みや冬休み中に、通常よりも多めに開催することは、子供の健全な育成という観点からも重要です。「子ども食堂」が民間の事業であることは承知していますが、行政として、「子ども食堂」を運営するNPO等に対し、何らかの基準やインセンティブを与えるなどの形で、この長期間の休み中には、通常よりも多めに開催することも大事だと考えます。
また、現在の仙台市の制度は、同一団体に対する助成期間は、令和4年度までの5か年を限度とするとのことです。経営の自立を期待してのことだと聞いていますが、一方で、この助成金が「子ども食堂」の開催回数の増加にも一定の役割を果たしているのではないでしょうか。当局は、主な収入も含めて、経営が自立していくことが望ましいとのことで、「地域のコミュニティ力」を引き出すことの大切さは同感であります。「子ども食堂」が経営的に自立できることが理想だと、私も思います。
一方で、懸念するところもあります。例えば、食事の質や量が落ちることはないでしょうか?そうなってしまうと、本末転倒だと思います。また、実際に経営が成り立たないケースの場合は、そのまま解散することもあるでしょう。助成制度がなくなった後、行政としての「子ども食堂」への支援の在り方を考えねばなりません。
「子ども食堂」の自立支援には、行政による環境づくりのサポートも大切だと考えます。例えば、NPOへの寄付や民間の支援が一つの柱になってくると考えます。仙台市独自で、NPOへの寄付への税制上の優遇措置を強化したり、民間の社会貢献(CSR)の一環としても支援を引き出せるような、環境づくりが大切だと考えます。子供食堂を運営する団体同士が、あるいは志を持つ民間業者の方々と、お互いにネットワークを築いたり、ノウハウを共有する「場所」が大切だと考えます。
現在はコロナ禍のため、「子ども食堂」の多くは休止状態です。さらに、学校が休校のため、給食も食べられない子供たちがいる。この実情に対し、今後、仙台市に、子供たちへの配食サービスを提案していきたいと考えています。例えば、お弁当1食あたり100円で子供たちに提供し、実費との差額分は行政で補填する。あるいは、食事作りのボランティアを家庭に派遣する。子供たちの様子を見守り、虐待から守る狙いもあります。制度としての実現に向け、まずは太白区でモデルケースを創るべく、動いています。