「今年初のイチジクをスーパーで見つけたよ」


そう言ってヒロさんが買い物袋を下げて帰ってきました


「もうイチジクが出てるの?」


口に入れると、甘くてとろりとして


初夏の味がしました


美味しいのに。。

なぜかちょっと切ない


前の家に置いてきた

私のイチジクたちはどうしているだろう


昨年の今頃はまだあの家にいて

5種類のイチジクを鉢植えで育てていました


小さな挿し木から育てて3年


昨年はまだ数個だったけれど

今年はきっともっと実をつけるはずでした


イチジクだけではありません


薔薇も、ジューンベリーも、


植物は人の事情なんて知らずに

今年も静かに芽吹き、実っているのでしょう


季節ごとに表情を変える庭が大好きでした


そして何より


あの庭には愛犬しゅりとの思い出がたくさん詰まっていました


縁側で日向ぼっこしながら

水撒きする私を見ていたしゅり


そして、穏やかな時間だけではなく

胸がしめつけられるような日々の記憶も残っています


私は。。。

イチジクだけではなく

あの場所で過ごした時間ごと置いてきたのかもしれません


喜びも悲しみも


スーパーで買った今年最初のイチジクが


そんな記憶をそっと運んできた夕暮れでした