これからアルバムに入ってる曲に関しての想いやできた経緯なんかを勝手にかかせてもらいます。
第一回目の今夜はアルバムタイトルにもなっております
"PUNK IS PUNK"
俺にはニューヨークに"Joey"という兄弟がいる。
ニューヨークにいる時、本当に楽しい時間を過ごし、たくさんの事を語り、そして色んな事を経験した。この"PUNK IS PUNK"はJoyeの事を歌った曲。
俺だけじゃない、他のメンバーも勿論Joeyの事は知っている。
じゃあ、なぜ彼の歌に"PUNK IS PUNK"と言う題名をつけたのか。
Joey Methadone(ステージネーム)はBLACKOUT SHOPPERSというバンドのドラマーだった。ライブハウスで出会ってからお互いのバンドを気に入り、しょっちゅう一緒にやったり飲みに行ったりした。
パンクバンドをやってればドラッグをやってる奴なんて五万といる。
ここでドラッグをやるのはどうか?っていう話は置いといて、ドラッグをやろうが酒で泥酔しようが俺はJoeyが大好きだった。
ある時からJoeyと一緒に住むようになり、それからは本当に近い存在になっていった。
仕事から帰るとお互いの仕事の愚痴を言ったり、バンドの話をしたり、ビール片手に朝まで、
それが日課になっていった。
そんなある日、朝起きるとJoeyはコンピューターの前に座っている。
俺はいつもの調子で話しかけるけどなんだかテンションが低い。
おい、なんかあったのかよ??って顔を見るとJoeyの顔は血だらけだった。
話を聞くと、酔っぱらってドラッグが欲しくなり買いにいったところ、いつまでも待たされる。
しびれを切らしたJoeyはプッシャーが入って行ったアパートへと入って行く。
中は真っ暗。声をかけても誰も返事をしない。
ゆっくり中へ入って行って気がつくと後ろにさっきの奴が立ってて殴りかかって来たとの事、、
その話を聞いて、俺は「お前はどこまでバカな奴なんだ?!!」
って半分切れながら、あきれながら言った。
そしたらJoeyは
「いや、いい奴に見えたんだよ。だから大丈夫かと思って。」
血だらけの顔を洗いもせずJoeyはそんな風に言った。落ち込んでる風に見えるJoeyに
「ビールでものもっか?」
って聞くと、
「そりゃあグッドアイディアだ。」
なんてぬかす。結局二人で朝から飲んだ。
Joeyは基本的に働き者だ。仕事にはちゃんと行くし言われた事をしっかりやる。
ただ、問題なのが風呂に入らない。だからとても臭い。
一時ウェイターをやっていた事があった。しかし仕事が合わないのか毎日帰ってくるたびに
客の文句ばかりを言っていた。特にチップが少ないという愚痴が多かった。
「これだからブルックリンに住んでる黒人は嫌いなんだよ。Shun、お前がいつもくわえてる奴らはクソだ。」
なんて冗談を交えながら、、、
ある日俺は言ってやった、
「Joey、風呂入らないで臭い奴に誰がチップ払うんだよ?一回俺の言う通りにしてみろよ。仕事前に必ずシャワーに入る!それでチップ同じように貰えないなら俺がチップ払ってやる!」
酔っぱらった勢いで言った言葉にJoeyは乗っかってきた。
次の日Joeyはたくさんのビールと共にニヤケながら帰って来た。
「Maybe, you were right」(多分お前が正しいわ)
俺はほら見ろと言わんばかりでなく、言ってやった。そして二人でまた朝まで飲んだ。
ウェイターの仕事よりもJoeyはずっとキッチンで働きたかった。昔からコックとして働いていたが当時の店はいっぱいでしかたなくウェイターをやっていた。
そんな時、別の店からうちでコックをやらないか?という誘いを貰った。
Joeyは喜び、さっそく面接に。
帰って来たJoeyは興奮していた。行ってみた店にはタトゥーだらけのシェフがいてノリもよく合い、明日からでも来て欲しいとのこと、、、
早速前の仕事に辞める事を伝え、次の日から意気揚々と新たな職場に向かった。
ウェイターをやっていた頃に比べ、この頃のJoeyは毎日生き生きとしていた。
風呂にも入ったし、俺に一緒にバンドを集めてコンピレーションを作ろう!!って事まで言い出した。
俺はそんなJoeyを見てなんだか嬉しくなった。人が良すぎる為か、バカだからか、なんかいつも肝心なところでダメになってしまうJoeyだったが、今回ばかりは巧く行きそうな気がしたから、、、
そんなある日、Joeyが帰って来なかった。
ガキじゃあるまいし心配すらしなかった。
しかし次の日も、そのまた次の日も帰って来ない。
さすがにどうしたのかと思いJoeyの部屋を開けてみた。
そこにはJoeyはいなかったが、赤いインクのようなものが部屋の床に広がっていた。
普段から顔にペイントなんかをするJoeyの事だからまた部屋汚してんなと思いつつ、
少し嫌な予感もした。
次の日、STACKERSでリハーサルスタジオに入っていると偶然BLACKOUT SHOPPERSに会った。
するとメンバーすら連絡が全然取れないという。
さすがに心配になりJoeyの実家に連絡を入れてみるが知らないという。
BLACKOUT SHOPPERSと共に俺は警察に行く事にした。
警察に行って俺は衝撃的な事を知る。
アメリカでは行方不明者が多すぎるため20歳~60歳までの捜索願は受け付けないという。
「じゃあどうすりゃいいんだ!? もう何日も連絡が取れない!何処にいるかも分からない!」
興奮する俺達に対し警察は静かに「病院にあたってみな」と言った。
事故か何かに巻き込まれたのかもしれない。
俺達は焦ってニューヨーク中の病院に電話をかけまくった。
だがJoeyを見つける事はできない。
そんな時、一人の警官が
「彼、いたよ」
と声をかけてきた。警察はBLACKOUT SHOPPERSのメンバーに説明をしているが俺には正直あまり理解できない言葉ばかりがでてきた。
「なにがあった??Joeyは大丈夫なの?」
俺がそう聞くとメンバーは残念そうな顔をしながら、
「Joeyの奴、薬やって自分で自分の手首を切ったらしい、、」
と言った。
俺がJoeyの部屋で見たのはJoeyの血だった。
次の日俺は朝からJoeyが入っている病院に向かった。
病院は精神病棟で患者は鍵のかかった重いドアの向こうに隔離されている。
そこに入って行き、俺は看護婦がJoeyを呼んでくるのを一人待った。
正直何を話していいのか分からなかった。どんな顔をすればいいのか分からなかった。
奥の部屋からボサボサの頭をしたJoeyがゆっくりこっちに向かってきた。
目は呆然としている。
「Hey, bro」
と全く生気のない声で俺に声をかけてきた。俺は大丈夫かよ?とかそんな言葉しか出て来ない。
しばらくの沈黙の後、思い切って
「なにがあったんだ?」
って聞いてみた。
Joeyが言うには毎日仕事が忙しく疲れていたらしい。次の日は久しぶりの休みだからちょっと思いっきり遊ぼうと街に繰り出し、散々飲んだあげくドラッグが欲しくなりプッシャーの元へ、、
コカインを買おうとしたがプッシャーが今日はヘロインしかないと言う。
普段ヘロインは絶対にやらないJoeyだが、疲れている所に大量の酒を流し込んだ為か、
判断ができなくなり、ヘロインを購入。
家に帰り一人ヘロインをやると、急に死にたくなったという。
気がつくと両方の手首を何度もカミソリで切っていた。
流れる血を呆然と見ながら何も感じれなかったという。
たくさんの血が出ると急に体の体温が下がっていき、我に返り、自分はなにしてんだ!と
俺に何度も助けの電話をかけたという。
俺はその時、家にいなかった。携帯の充電も切れていた。
兄弟が助けを求めている時、俺は何にも気づいてやれなかった。
Joeyは自分でなんとか救急車を呼び、病院に搬送された。
まだ薬が完全に抜けてないのか、たまにボソボソと何を言っているのかも分からない事もある。
しかし最後に
「ごめん」
とだけ言った。
なんとも言えない気持ちのまま俺は一人家に帰った。
それでもJoeyの帰ってくる家はここだと血だらけになっていた部屋を掃除した。
そして何度も病院にJoeyに会いに行った。
日に日によくなっていくJoey。
初めて面会に行ってきたときとはあきらかに違い、いつもの俺の知ってるJoeyに戻って行った。
しかし周りにいるのは完全に壊れてしまっている人達。そんな中で生活をしなくてはいけないJoeyはそれがすごくストレスになっていて、俺が行っている時にも突然他の患者に大声を出す事もあった。
俺は一刻も早くJoeyには病院を出てきて欲しかったし、見る限りなんの問題も無いように見えた。
帰り際、
「あと少しだから頑張れよ。」
と伝えると
「分かってる。分かってるよ。」
とだけJoeyは答えた。
前回の面会の時にあと2週間くらいと言われていたが、それから5日くらいで突然Joeyは帰ってきた。
笑顔で帰ってきたJoeyはそれはそれは元気だった。
病院から退院してきたばかりの奴に言う言葉じゃないのは分かってる。でも俺は言った、、
「Joey、ビールでも買って来ようか」
正直飲むとは思わなかった。こんな事になり、ドラッグは勿論、酒すら飲む気はしないと病院で言っていたからだ。ただ俺は嬉しくてなんかお祝いがしたくなってしまった。
Joeyは笑顔で
「飲もうぜ」
と言った。そして俺達は最高にうまい酒を飲んだ。
それからというものJoeyはドラッグは止めた。
正直俺が日本に帰ってからは分からない。ただ俺の知る限りではもうやっていない。
二人で始めたコンピレーションもJoeyの入院から動きが止まってしまっていた。
しかし退院してから二人で走り回り
"NY SHITTY PUNK ROCK 2006"
を完成させた。
そのリリースパ-ティー、STACKERSのニューヨークラストライブでもある。
最高の一日だった。
アメリカに来てよかったって思えた一日だった。
仲間に囲まれ、パンクスに囲まれ、そしてJoeyも心から楽しんでいた。
俺とJoeyは基本的にお互いをけなし合ってばかりいた。でも俺がニューヨークを離れる時には、
「次は日本であっても、ニューヨークであっても、俺達は絶対また会う」
という約束をして別れた。
ここまで書いたJoeyの事をもしかしたら皆はただのドラッグ好きのダメな奴、
と思うかもしれない。
それは構わない。なぜなら事実なのだから。
ただ、俺はJoeyの事が本当に好きだ。
酔っぱらっても、ドラッグをやってしまっても、俺だけの事は「Brother」と呼び続けてくれる
あいつを俺はずっとずっと近い存在に感じる。
あいつはいつだっていい奴だった。誰かに迷惑をかけようとする事なんてなかった。
ただ、少し弱かった。弱くなった時に頼るものを間違えてた。そしてついてなかった。
本当についてなかった。
あんないい奴がって俺は何回も思った。
そんな話をJayとしながらできたのがこの曲
"PUNK IS PUNK"
直訳すると「クズはクズ」
そうとらえる人もいると思う。
でも、俺はどんなクズであっても俺のしるJoeyである限り俺の気持ちは変わらない。
あいつはそれ以上でもそれ以下でもない。
そして、あいつだけでなくどんな奴だって。
そういう意味を込めて書いた曲。
"PUNK IS PUNK"
是非、Joeyがどんな奴だったのか、自分はどんな奴なのか考えながら聞いて欲しい。
追伸:今Joeyが何やってるかって?? 聞いて俺もびっくり!コメディアンやってます。
STACKERS
日本デビューアルバム「PUNK IS PUNK」
初回限定生産
ATPX-002 /¥1050(tax in)
通常版
ATPX-003 /¥1800(tax in)
収録曲
1. PUNK IS PUNK
2. DISTORTION
3. The City Of Nihilism
4. Doesn't Bother Me
5. JUST BECAUSE
6. YES and NO
7. LAST FOREVER
8. WATCH OUT
9. THE UNFORGETTABLE WORD
10. You Don't Know His Name
11. IMITATION
12. YEAH YEAH YEAH
13. Have A Good Time
14. Radio
タワーレコード
初回限定版
http://tower.jp/item/2899093/PUNK-IS-PUNK<初回限定盤>
HMV
初回限定版
http://www.hmv.co.jp/product/detail/4107953
第一回目の今夜はアルバムタイトルにもなっております
"PUNK IS PUNK"
俺にはニューヨークに"Joey"という兄弟がいる。
ニューヨークにいる時、本当に楽しい時間を過ごし、たくさんの事を語り、そして色んな事を経験した。この"PUNK IS PUNK"はJoyeの事を歌った曲。
俺だけじゃない、他のメンバーも勿論Joeyの事は知っている。
じゃあ、なぜ彼の歌に"PUNK IS PUNK"と言う題名をつけたのか。
Joey Methadone(ステージネーム)はBLACKOUT SHOPPERSというバンドのドラマーだった。ライブハウスで出会ってからお互いのバンドを気に入り、しょっちゅう一緒にやったり飲みに行ったりした。
パンクバンドをやってればドラッグをやってる奴なんて五万といる。
ここでドラッグをやるのはどうか?っていう話は置いといて、ドラッグをやろうが酒で泥酔しようが俺はJoeyが大好きだった。
ある時からJoeyと一緒に住むようになり、それからは本当に近い存在になっていった。
仕事から帰るとお互いの仕事の愚痴を言ったり、バンドの話をしたり、ビール片手に朝まで、
それが日課になっていった。
そんなある日、朝起きるとJoeyはコンピューターの前に座っている。
俺はいつもの調子で話しかけるけどなんだかテンションが低い。
おい、なんかあったのかよ??って顔を見るとJoeyの顔は血だらけだった。
話を聞くと、酔っぱらってドラッグが欲しくなり買いにいったところ、いつまでも待たされる。
しびれを切らしたJoeyはプッシャーが入って行ったアパートへと入って行く。
中は真っ暗。声をかけても誰も返事をしない。
ゆっくり中へ入って行って気がつくと後ろにさっきの奴が立ってて殴りかかって来たとの事、、
その話を聞いて、俺は「お前はどこまでバカな奴なんだ?!!」
って半分切れながら、あきれながら言った。
そしたらJoeyは
「いや、いい奴に見えたんだよ。だから大丈夫かと思って。」
血だらけの顔を洗いもせずJoeyはそんな風に言った。落ち込んでる風に見えるJoeyに
「ビールでものもっか?」
って聞くと、
「そりゃあグッドアイディアだ。」
なんてぬかす。結局二人で朝から飲んだ。
Joeyは基本的に働き者だ。仕事にはちゃんと行くし言われた事をしっかりやる。
ただ、問題なのが風呂に入らない。だからとても臭い。
一時ウェイターをやっていた事があった。しかし仕事が合わないのか毎日帰ってくるたびに
客の文句ばかりを言っていた。特にチップが少ないという愚痴が多かった。
「これだからブルックリンに住んでる黒人は嫌いなんだよ。Shun、お前がいつもくわえてる奴らはクソだ。」
なんて冗談を交えながら、、、
ある日俺は言ってやった、
「Joey、風呂入らないで臭い奴に誰がチップ払うんだよ?一回俺の言う通りにしてみろよ。仕事前に必ずシャワーに入る!それでチップ同じように貰えないなら俺がチップ払ってやる!」
酔っぱらった勢いで言った言葉にJoeyは乗っかってきた。
次の日Joeyはたくさんのビールと共にニヤケながら帰って来た。
「Maybe, you were right」(多分お前が正しいわ)
俺はほら見ろと言わんばかりでなく、言ってやった。そして二人でまた朝まで飲んだ。
ウェイターの仕事よりもJoeyはずっとキッチンで働きたかった。昔からコックとして働いていたが当時の店はいっぱいでしかたなくウェイターをやっていた。
そんな時、別の店からうちでコックをやらないか?という誘いを貰った。
Joeyは喜び、さっそく面接に。
帰って来たJoeyは興奮していた。行ってみた店にはタトゥーだらけのシェフがいてノリもよく合い、明日からでも来て欲しいとのこと、、、
早速前の仕事に辞める事を伝え、次の日から意気揚々と新たな職場に向かった。
ウェイターをやっていた頃に比べ、この頃のJoeyは毎日生き生きとしていた。
風呂にも入ったし、俺に一緒にバンドを集めてコンピレーションを作ろう!!って事まで言い出した。
俺はそんなJoeyを見てなんだか嬉しくなった。人が良すぎる為か、バカだからか、なんかいつも肝心なところでダメになってしまうJoeyだったが、今回ばかりは巧く行きそうな気がしたから、、、
そんなある日、Joeyが帰って来なかった。
ガキじゃあるまいし心配すらしなかった。
しかし次の日も、そのまた次の日も帰って来ない。
さすがにどうしたのかと思いJoeyの部屋を開けてみた。
そこにはJoeyはいなかったが、赤いインクのようなものが部屋の床に広がっていた。
普段から顔にペイントなんかをするJoeyの事だからまた部屋汚してんなと思いつつ、
少し嫌な予感もした。
次の日、STACKERSでリハーサルスタジオに入っていると偶然BLACKOUT SHOPPERSに会った。
するとメンバーすら連絡が全然取れないという。
さすがに心配になりJoeyの実家に連絡を入れてみるが知らないという。
BLACKOUT SHOPPERSと共に俺は警察に行く事にした。
警察に行って俺は衝撃的な事を知る。
アメリカでは行方不明者が多すぎるため20歳~60歳までの捜索願は受け付けないという。
「じゃあどうすりゃいいんだ!? もう何日も連絡が取れない!何処にいるかも分からない!」
興奮する俺達に対し警察は静かに「病院にあたってみな」と言った。
事故か何かに巻き込まれたのかもしれない。
俺達は焦ってニューヨーク中の病院に電話をかけまくった。
だがJoeyを見つける事はできない。
そんな時、一人の警官が
「彼、いたよ」
と声をかけてきた。警察はBLACKOUT SHOPPERSのメンバーに説明をしているが俺には正直あまり理解できない言葉ばかりがでてきた。
「なにがあった??Joeyは大丈夫なの?」
俺がそう聞くとメンバーは残念そうな顔をしながら、
「Joeyの奴、薬やって自分で自分の手首を切ったらしい、、」
と言った。
俺がJoeyの部屋で見たのはJoeyの血だった。
次の日俺は朝からJoeyが入っている病院に向かった。
病院は精神病棟で患者は鍵のかかった重いドアの向こうに隔離されている。
そこに入って行き、俺は看護婦がJoeyを呼んでくるのを一人待った。
正直何を話していいのか分からなかった。どんな顔をすればいいのか分からなかった。
奥の部屋からボサボサの頭をしたJoeyがゆっくりこっちに向かってきた。
目は呆然としている。
「Hey, bro」
と全く生気のない声で俺に声をかけてきた。俺は大丈夫かよ?とかそんな言葉しか出て来ない。
しばらくの沈黙の後、思い切って
「なにがあったんだ?」
って聞いてみた。
Joeyが言うには毎日仕事が忙しく疲れていたらしい。次の日は久しぶりの休みだからちょっと思いっきり遊ぼうと街に繰り出し、散々飲んだあげくドラッグが欲しくなりプッシャーの元へ、、
コカインを買おうとしたがプッシャーが今日はヘロインしかないと言う。
普段ヘロインは絶対にやらないJoeyだが、疲れている所に大量の酒を流し込んだ為か、
判断ができなくなり、ヘロインを購入。
家に帰り一人ヘロインをやると、急に死にたくなったという。
気がつくと両方の手首を何度もカミソリで切っていた。
流れる血を呆然と見ながら何も感じれなかったという。
たくさんの血が出ると急に体の体温が下がっていき、我に返り、自分はなにしてんだ!と
俺に何度も助けの電話をかけたという。
俺はその時、家にいなかった。携帯の充電も切れていた。
兄弟が助けを求めている時、俺は何にも気づいてやれなかった。
Joeyは自分でなんとか救急車を呼び、病院に搬送された。
まだ薬が完全に抜けてないのか、たまにボソボソと何を言っているのかも分からない事もある。
しかし最後に
「ごめん」
とだけ言った。
なんとも言えない気持ちのまま俺は一人家に帰った。
それでもJoeyの帰ってくる家はここだと血だらけになっていた部屋を掃除した。
そして何度も病院にJoeyに会いに行った。
日に日によくなっていくJoey。
初めて面会に行ってきたときとはあきらかに違い、いつもの俺の知ってるJoeyに戻って行った。
しかし周りにいるのは完全に壊れてしまっている人達。そんな中で生活をしなくてはいけないJoeyはそれがすごくストレスになっていて、俺が行っている時にも突然他の患者に大声を出す事もあった。
俺は一刻も早くJoeyには病院を出てきて欲しかったし、見る限りなんの問題も無いように見えた。
帰り際、
「あと少しだから頑張れよ。」
と伝えると
「分かってる。分かってるよ。」
とだけJoeyは答えた。
前回の面会の時にあと2週間くらいと言われていたが、それから5日くらいで突然Joeyは帰ってきた。
笑顔で帰ってきたJoeyはそれはそれは元気だった。
病院から退院してきたばかりの奴に言う言葉じゃないのは分かってる。でも俺は言った、、
「Joey、ビールでも買って来ようか」
正直飲むとは思わなかった。こんな事になり、ドラッグは勿論、酒すら飲む気はしないと病院で言っていたからだ。ただ俺は嬉しくてなんかお祝いがしたくなってしまった。
Joeyは笑顔で
「飲もうぜ」
と言った。そして俺達は最高にうまい酒を飲んだ。
それからというものJoeyはドラッグは止めた。
正直俺が日本に帰ってからは分からない。ただ俺の知る限りではもうやっていない。
二人で始めたコンピレーションもJoeyの入院から動きが止まってしまっていた。
しかし退院してから二人で走り回り
"NY SHITTY PUNK ROCK 2006"
を完成させた。
そのリリースパ-ティー、STACKERSのニューヨークラストライブでもある。
最高の一日だった。
アメリカに来てよかったって思えた一日だった。
仲間に囲まれ、パンクスに囲まれ、そしてJoeyも心から楽しんでいた。
俺とJoeyは基本的にお互いをけなし合ってばかりいた。でも俺がニューヨークを離れる時には、
「次は日本であっても、ニューヨークであっても、俺達は絶対また会う」
という約束をして別れた。
ここまで書いたJoeyの事をもしかしたら皆はただのドラッグ好きのダメな奴、
と思うかもしれない。
それは構わない。なぜなら事実なのだから。
ただ、俺はJoeyの事が本当に好きだ。
酔っぱらっても、ドラッグをやってしまっても、俺だけの事は「Brother」と呼び続けてくれる
あいつを俺はずっとずっと近い存在に感じる。
あいつはいつだっていい奴だった。誰かに迷惑をかけようとする事なんてなかった。
ただ、少し弱かった。弱くなった時に頼るものを間違えてた。そしてついてなかった。
本当についてなかった。
あんないい奴がって俺は何回も思った。
そんな話をJayとしながらできたのがこの曲
"PUNK IS PUNK"
直訳すると「クズはクズ」
そうとらえる人もいると思う。
でも、俺はどんなクズであっても俺のしるJoeyである限り俺の気持ちは変わらない。
あいつはそれ以上でもそれ以下でもない。
そして、あいつだけでなくどんな奴だって。
そういう意味を込めて書いた曲。
"PUNK IS PUNK"
是非、Joeyがどんな奴だったのか、自分はどんな奴なのか考えながら聞いて欲しい。
追伸:今Joeyが何やってるかって?? 聞いて俺もびっくり!コメディアンやってます。
STACKERS
日本デビューアルバム「PUNK IS PUNK」
初回限定生産
ATPX-002 /¥1050(tax in)
通常版
ATPX-003 /¥1800(tax in)
収録曲
1. PUNK IS PUNK
2. DISTORTION
3. The City Of Nihilism
4. Doesn't Bother Me
5. JUST BECAUSE
6. YES and NO
7. LAST FOREVER
8. WATCH OUT
9. THE UNFORGETTABLE WORD
10. You Don't Know His Name
11. IMITATION
12. YEAH YEAH YEAH
13. Have A Good Time
14. Radio
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