そういうわけで、濃厚接触者になってしまいました。

 

事の発端は、市内に住むアメリカ人の英語講師助手の先生が、具合が悪いから病院に連れて行ってほしいという依頼を彼の派遣元から受けたことでした。彼を市内の内科医院に連れて行き、診断してもらおうとしたところ、受付では電話番号を聞かれ、駐車場で待機してほしいと言われました。その医院もかなりの厳重警戒態勢で、診断は車に乗ったまま看護士さんと駐車場の窓越しに話をして、先生とは自分のスマホを通じて話をするというドライブスルーのような形式をとっていました。

 

何を診てもらうにしても、まずはコロナに感染しているかどうかを確かめなければならないということで、アメリカ人先生は抗原検査というものを受けました。妙に長いビヨンビヨンしなる綿棒のようなものを鼻に突っ込んでやるあれです。彼は綿棒を突っ込まれる痛みに耐えながら、なんとか検査を終え、彼と私は車で待っていました。しばらくして、私のスマホに医院から着信が入りました。

 

熊ちゃん先生「あ、もしもし、これは通訳さんの電話かな?」

私「はい、そうです。」

熊ちゃん先生 「今、コロナが市内で流行っていてね、その検査をさせていただいたんだけど、陽性だよ。」

私「…そうですか。」

熊ちゃん先生 「それとあなたね、名前なんていうの?」

私「伊藤俊介です。」

熊ちゃん先生 「あー!伊藤君か!君もねっ、濃厚接触者だからね。」

私「…そうですか。(やっちまったあああああー!!! 地雷踏んだあああああーー!!!)」

熊ちゃん先生「保健所から電話があるから、そのまま待っててね。」

私「分かりました。(ぬおおおおおおおおおおおー!!!)」

私「コロナ陽性だって。今から保健所から電話が来るからそれを待つように、と。」

アメリカ人先生「マジか!?」

私「そして俺も濃厚接触者だそうだ。」

アメリカ人先生「ええええっ!!! ごめん!!! ごめん!!! ほんと、マジでごめん!!!」

私「いや、大丈夫だよ。(んぬおおおおおおおおおおおおー!!! まいがあああああー!!!)」

 

保健所の話では、アメリカ人の先生は入院の必要があるけど今はどこも満室なので、今日のところは自宅待機とのことでしたので、とりあえずは彼を彼のアパートまで送っていきました。そして私に関しては、検査対象になるかどうかを審議するとのことでした。そこから、関係各所との間で電話をやったりとったりでした。

 

アメリカ人の先生の派遣元である会社からも連絡があり、今回のことは申し訳なかったということと、翌日のアメリカ人先生の入院手続きには会社からスタッフを送るとのことでした。が。「わざわざ濃厚接触者を増やす必要もないでしょう。私が彼の入院手続きもしますよ」と言ったところ、その手続きに来ようとしたスタッフは「いえ、大丈夫ですよ。私は一人暮らしですし、感染させる家族もいませんから」と。「いえいえ、そういう問題じゃねえっすよ」と、結局、入院手続きまで引き受けました。

 

翌日、アメリカ人の彼を感染病棟の近くまで連れて行きましたが、普段行き慣れていないところだったので、着くまでしばらく迷いましたが、結局やってきた派遣元のスタッフと一緒にアメリカ人先生の入院手続きを済ませました。

 

それから、私の家族関係の施設や学校や職場などなどに電話し、週末だったので電話がつながらないところには経緯をざっくり書いたものをFAXしたりでした。そして私はセルフ軟禁に入りました。