思い出しつつ、ココとの思いでを書き出してみようと思う。

2000年10月に、ココのバンド、ブルース・マシーンのメンバーになったのは以前も書いた。
最初の3年くらいは、ココはとても怖かったね。
ステージ上ですごい形相で睨まれる事が何度もあった。今考えれば、音に不満な部分もあったろうし、そうでない部分もあったんだと思う。

ココは、とにかく曲に自分を100%投入する。
例えば”Cry like a baby"の「Cry like a baby when you left me last Friday night」と歌っていると、自分が本当に先週の金曜に男に逃げられた気分になっている。つまりムチャ機嫌が悪いわけだ(笑い)。その怒りをどこにぶつけるかと言えば、すぐ隣でギターを弾いている小生か、ヴィノなんだね。
ある日などは、小生のところに寄ってきて「Use your brain(頭を使いなさい)」って言葉を残して行ったこともある。これをショウの後に楽屋でメンバーに話したらみんな爆笑になって、今でも時々ギャグのネタにされている。でも小生はまだいい方で、20年近くココとやっているリーダーのヴィノはそれはそれはいろんな事を言われたみたいだね。おー怖っ(笑い)。

ところが、"Jump for joy"や"Wang Dang Doodle"のような軽快な楽しい曲になると、一転ニコニコしながらステップを踏んだり、お客さんに笑顔を見せて、ココは本当に楽しそうに歌う。

でも、ステージをいったん離れると、ステージ上でのそういったことは、全くなかったかの様に、優しい女性の顔に戻る。このへんの切り替えもすごかった。本人がそれを意識していたのかどうかはわからないけど。ステージを降りた後で音について言われたのは、9年間のうち最初の年に1回あっただけだ。

一流の女優がそうであるように、ココも曲の主人公として、深く自分を投影する才能を持っていたんだね。だからこそ、あれだけ人を動かす歌が歌えたんだろうと思うんだ。