2016/04/20 journal | 陣内俊 Prayer Letter -ONLINE-

2016/04/20 journal

 

■タイトル:

 

主はなぜ、口べたなモーセを指導者として選ばれたのか

 

 

■聖書箇所:

 

出エジプト記6章30節 

 

しかしモーセは主の前に申し上げた。「ご覧ください。私は口べたです。どうしてパロが私の言うことを聞くでしょう。」

 

 

 

モーセは口べただった。

 

 

暴力によって解決しようとする傾向や、

激情にかられて石版を割るなどの行為から、

彼の言葉が流ちょうでないのが心理学的に説明できる。

 

 

モーセが「私は口べたです」と主に申し立てる箇所は

6章だけで2回繰り返され、

この前の章にも一度出てくるので、

合計3回、繰り返されたことになる。

 

 

この反復は、

この不服申し立てとそれに対する主の応答が、

とても大切な出来事だという証拠である。

 

 

なぜ、主は、言葉を扱うのが

上手くない者をわざわざ選んで、

ご自身の言葉を民に伝えようと思ったのか。

 

 

この疑問について考えてみるが、

きれいに説明できる解答は見つからない。

 

 

まず、主はいつも「苦手分野」を選んで人を使うのだろうか、

と考えてみると、そうでもないことが分かる。

 

 

ヨセフは卓越した天性の管理者であり、

その管理能力を生かす働きに、

あらかじめ選ばれた。

 

 

ダビデは天性の戦士であり、

イスラエルの王としてその才能を遺憾なく発揮した。

 

 

ではどうして、口べたなモーセを、

主はイスラエルの指導者としてお選びになったのか。

 

 

分からないが、いくつかの可能性が考えられる。

 

 

1.能力に恵まれた人が主の働きをしても、

その人が称えられるだけで主の栄光が現れない。

 

 

イエスがお選びになった12弟子は、

人の目から見るとお世辞にも完全とは言えない人々だった。

 

 

だからこそ、その人々を教会の礎石とすることで、

人ではなくご自身の栄光を現わされた。

 

 

創世記を読むと、アブラハムにもヤコブにも

イサクにもヨセフにも、欠けがあることが分かる。

 

 

際立つのは彼らの卓越ではなく、主の忠実さである。

 

 

 

2.モーセの近くには弁舌に長けたアロンがいたように、

主は欠けを補い合って働くように意図されている。

 

 

パウロは弱視だったという有力な説があり、

そのゆえに、口述筆記をしていたという。

 

 

また「肉体のトゲ」を与えられていた。

 

 

それゆえに、パウロのそばにはいつも

筆記者がいなければならなかったし、

伝道旅行には誰か介助者が必要だったと思われる。

 

 

パウロのような人物ならば、

もし肉体のトゲがなく、弱視でもなければ、

すべてのことを自分でしただろう。

 

 

人間は自立を賛美するが、

神は相互依存を重視される。

 

 

私は、自分ひとりで何もできないことを、

むしろ喜ぶべきである。

 

 

 

3.主はその働きを通して指導者を、

ご自身に似た者にされたいのだから、

最初から完成品を選ばない。

 

 

 

ペテロは激情型の人間であり、

感情に依存するために挫折した。

 

 

彼の個性は彼の弱さでもあった。

しかし挫折を経て彼は成熟し、

後に教会の「父親」的存在として、

神の素晴らしさを現わした。

 

 

旧約聖書のヤコブも小ずるい人間だったが、

神との格闘の末、その性質を変えられ

12部族の父祖となった。

 

 

神は、「何かことを起こす」とき、

実は人を用いて何かを起こすのではなく、

逆に考えておられるのかもしれない。

 

 

「そのこと」を通して「人を作ろう」と。

 

 

松下幸之助が

「うちの会社は人を作っています。

ついでに家電も作っています。」

と言ったのは有名だが、

神の御業は、

「しるしや不思議や歴史におけるアウトプット」

が主眼ではなく、それは実は副産物で、

本当に神が生み出したいものは

「キリストに似た者」なのかもしれない。

 

 

そう考えると、神が完成品を用いるはずはない。

 

 

神は不完全な人間を、

その「使命」という研磨剤で磨き上げ、

キリストに似た者を作られるのである。

 

 

リック・ウォレンが、

「あるビジョンが神からのものであるかどうか

知るための大切な質問の一つ」に、

「そのビジョンの達成の過程で、

あなたはキリストに似せられるかどうか」

を挙げているが、その話しともリンクする。

 

 

モーセから今日、学べること。

 

・欠けを喜ぼう。その欠けによって主の栄光が現れるから。

 

・私を成熟させてくださる主に期待しよう。

 

・人に助けてもらおう。自分では全部できないことを喜ぼう。