小川洋子の小説。


見事というか、ラストのドンデン返しが素晴らしい。


海外旅行で20歳の女性と60いくつの女性が同室になって、そこから物語が始まります。


年配の女性がかつての恋人(養老院で過ごす老人で、もうすぐ死を迎えようとしている)をウィーンに訪ねるという設定ですが、養老院への行き方がどうも分からない。仕方なく、若い方の女性が付いて行ってやる。若い方の女性は本当は美術館とかいろいろ行こうと思ってウィーンに来たけれど、結局はどこも行けず。毎日、年配の女性に付いていくはめになる。


でも、これは、なかなか、よくできた物語です。


さらさらと読めて、しかも、文章がしっかりしている。間延びしていないのが、いい。


ラストは、元恋人が亡くなり、悲しい結末だと思って読むわけですが、それが大違いという話。


物語的には悲しいのですが、その中にユーモアが盛られていて、救われますね。


で、結局は、死んだのは違う老人で、元恋人はその老人の横で生きている。


でも、2人は、亡くなった人違いの老人に対し、そっと手を合わせ祈りを捧げるーー。


いい作品です。