上司を見れば、媚、へつらい、ごますり……何のその、です。
減石された分、早く、元の通リ、せめて5石ぐらいは取り戻したい。そのための「ごますり」でしょうが、甚内はそれがもう自然で、言ってみれば、あいさつみたいな感じなんです。
さすが、営業マン!
と褒めてやりたくなる人物です。
藤沢周平の傑作『たそがれ清兵衛』シリーズの作品が、これ。
ど忘れ、うらなり、かがなき、だんまり、日和見……など、武士とはいえ、どちらかといえば、日ごろから「蔑まされている」主人公が、ある日突然、剣術のワザでそれはそれは素晴らしい活躍を見せる、一風変わった小説。
簡単に言えば、格好の悪い武士が悪者を毅然と倒すという物語で、一癖も二癖もある人間味のある武士を主人公にした点が、藤沢周平らしいですね。
秀逸は、やはり『たそがれ清兵衛』だと思いますが、私は『ごますり甚内』が好きです。
最後は、見事に悪者を剣で倒し、5石を戻す。さらに、新しく5石加増されるという設定。
とても、晴れやかな甚内に拍手!