歴史・時代小説家とノンフィクションライターの2人に共通するのは何か?
格調高い端正な文章力というのがおそらく似通っていると思うが、それ以上に、言葉や状況の細部に相当こだわっているところが2人に共通した部分と違うかな。
沢木の近著『深夜特急ノート 旅する力』を読んでいてもそれは感じるし、藤沢周平の『隠し剣』シリーズもそれを感じる。
とにかく、ちょっと考えればおかしなことでも、決して笑わない。
笑わないどころか、理詰めで、しっかりと答えを出すのが2人の律儀なところなんやろね。
たとえば、変人が登場したとしても、その対象にまじめに迫り、きちんとオチをつけて書く。
それは、実に素晴らしい技としか言いようがない。
沢木のデビュー作『人の砂漠』に出てくるゴミ拾いのおっさんの話なんか、あれをコト細かに描き切る度量は大したもんです。
プロボクサー・カシアス内藤を題材にして書いた『一瞬の夏』。あれは沢木が自らお金を出してプロデュースし、その出来事を書いたんですが、あの手法は、私にとっては衝撃的でした。
そして、藤沢周平の奥行きの深さは、最近、流行作家と呼ばれる時代小説家?の及ばないところです。