蘭学者・高野長英は、シーボルトの高弟としてオランダ語を駆使して西洋の兵書などを翻訳しましたが、シーボルトの影響や翻訳の仕事を通して、日本は開国が迫られていると将来を見ていたようです。
それで、幕府を批判した「夢物語」という本を書いて投獄されるんですね。
でも、牢に火を放って、逃亡する。
長英の不幸は、目付の鳥居耀蔵(ようぞう)に、それこそ目を付けられたことでしょう。耀蔵の指令で全国に指名手配される。
長英は、しばらく江戸に潜んで、翻訳業を続ける。
その間、兵書「三兵答古知幾」(全二十七冊)を訳し、続けて西洋諸国の地理、経済、兵法などを記した「知彼一助」(2巻)を訳します。
その後、長英は宇和島藩藩主・伊達宗城(むねなり)の招きで宇和島へ行きます。宇和島藩は、軍事、とりわけ海防の必要性を感じていたようで、大砲を築くのに長英の知識が要ると判断したんですね。
長英は3年間の潜伏中に、大砲の築きかたを記した「砲台学入門」を訳し、「砲家必読」(全5巻)として藩主に献上する。
おそらく彼の翻訳があったおかげで、軍事参謀の1人といわれた大村益次郎(村田蔵六)が宇和島藩で活躍し、明治維新につながったのではないかという見方も。
長英の翻訳業は日本の近代化に貢献したのかなぁ。
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