長谷川伸の代表作「沓掛時次郎」「瞼の母」などを通して論じる「見られている心と見る心」。


その作風は、アメリカの西部劇に影響されたと見る著者・佐藤忠男が注目したのは、長谷川伸の女性崇拝?という思想のようです。


それは、騎士道精神の変形なのか?


そうかもしれないし、そうでないかもしれない。


長谷川伸が活躍した時代は、女性蔑視が公然と行われていたいわゆる封建制がまだ残っていた時代だったようで、そこに近代化の手がかりとでもいうべき女性尊重という思想を作品化していく。


「たぶん彼は、『瞼の母』のような作品を書くことで、見守られているという感覚を自覚的に磨きあげ、同時にそのことで、見捨てられたかわいそうな人たちの魂を見守る、見とおす、共存感をもつという感覚を鍛えたのであろう」


それは、女性へのまなざしと同時に、人間に対する普遍的なまなざしなんでしょう。


佐藤忠男は、『小津安二郎の芸術』などもそうですが、苦労人だけに、女性の心を微細に描いた作品を取り上げるのが得意なのかもしれない。