小伝馬町の牢獄青年医師・立花登のシリーズ完結編(4作目)。
牢内で起こるさまざま難事、関わりを見過ごしにできない登が、まるで敏腕同心のように1つひとつを解決する物語ですが、そのときの推理が、実に決め細かく、論理的なんですね。
江戸時代を舞台に人間の裏道を歩く犯罪者たちの心の奥をのぞく感じがします。
4作目は、かつての捕物で恨みを持った男が出牢後、登の命を狙うくだりはおどろおどろしいいね。
それでも、救いはあります。
「若さにまかせて過ぎて来た日々は終って、ひとそれぞれの、もはや交わることも少ない道を歩む季節が来たのだ。おあきはおあきの道を、おちえはおちえの道を。そしておれは上方に旅立たなければならぬ」
牢医師を辞め、大坂で医師修業のために旅立つ登が、やっかいになっている叔父の家の姪・おちえとの間で結ばれる約束ーー。
若い2人の希望の約束をラストに、青年医師の旅が終わる。