夏の日のことだった。

僕が部屋でPCを弄ってると、姉が俺の部屋へふらりとやってきた。

そして何をするでもなく、漫画を読んでいた。

僕はこんなことは姉以外の兄弟にも日常茶飯事にされている。

なので、いつも通り無視してPCを弄っていた。

すると突然、姉が「はっ!」と身を乗り出し、空中を鷲掴みした。

「な、何?」と驚く僕。

姉「ちょ、みて!この中に蚊捕まえたから!」(テンション高めに

俺「うひょーマジで?」(テンション低めに

姉「いっせーのーせで掌開けるから、アンタ迎撃して!」

俺「あいあい」(めんどくさそうに身を乗り出す

お互いの呼吸はぴったりだ。後は作戦通り事を運ぶだけ。

そして、いよいよ決行の時が迫る。

姉「いくよ?いい?いっせーのーせ!」

ぱっと掌を開く姉。見逃すまいと両手を広げながら蚊を探す俺。

しかしそこにあるのは白く変色した姉の掌だけだった。

俺&姉「・・・・・・・・・」

・・・気まずい。

姉「みてみ?」
俺「へ?」
姉「ほら、生面線長いっしょ?
この前占ってもらったら金運にも恵まれてるって言われた」
俺「ああー・・・へぇー・・・」

暑い夏の昼下がりのことだった。