私事ですが、ちょうど漢検受験の前日までミュージカルに出演しており、稽古と本番で毎日忙しく、まとまって勉強する時間は取れませんでした。実質勉強期間は2週間くらいです。
朝起きてから稽古場に行く前、電車の中、空き時間、楽屋、帰宅後寝る前など、隙間の時間を使って勉強していました。
それでもなんとか効率よく勉強し、おそらくゼロからの勉強期間としては最短レベルで漢検準1級に合格することができました。
そこで、これから漢検準1級あるいは他の級を取得予定の方々に、僭越ながら僕が合格に向けて取り組んだ勉強法を紹介させていただきたいと思います。ぜひ参考にしていただければ幸いです。
①まず最初に過去問を1年分解く
2級までとは異なり、準1級には今まで見たことも聞いたこともない漢字がたくさん出題されます。準1級の勉強をしたことがない場合、ほとんどの問題が解けないと思います。
その状態で、過去問を1年分解いてみます。
なぜそんなことをするのかと疑問に思われる方もいらっしゃると思いますが、まずは何も勉強していない状態で過去問を1年分解きます。解いたら採点をしてみてください。僕の場合、200点満点中40点くらいだったと思います。たったの2割しか解けませんでした。
ちなみに合格点は約8割、160点程度と定められています。
普通の人ならこの段階で折れて諦めますが、実際ここから2週間あれば必ず合格できます。
さて、解けないのが分かっていてなぜ初めに過去問を解くのか。その主な理由としては、
・現在の自分のレベルを把握できる
・合格までにあとどれくらいの情報量が必要なのかを知ることができる
そして
・危機感を覚える
が挙げられます
漢検の勉強に限ったことではありませんが、「まだ試験まで日にちがあるからゆっくり勉強しよう」「今日は忙しくて勉強できなかった。明日やろう」など甘い考えを持っていると大抵落ちます。
そうではなく、現時点における目標との具体的な距離を把握し、時間がない中で危機感を持って自分を追い込むことが合格の秘訣となります。
②教材
さて、あまり時間もないので早速勉強していきます。
使う教材は
・『カバー率測定問題集 漢検マスター準1級 改訂第2版(オフィス海)』
さて、あまり時間もないので早速勉強していきます。
使う教材は
・『カバー率測定問題集 漢検マスター準1級 改訂第2版(オフィス海)』
知識を入れる教材はカバー率1冊に絞ります。1冊で大丈夫なのかと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、他のテキストを併用するのではなく、カバー率1冊を完璧にすることが何よりも肝心です。
この本1冊を完璧にすれば準1級に合格できるようになっています。データがそれを証明しています。色々な教材に手を伸ばさず、このテキストを信じて頑張りましょう。
過去問題集は試験直前に使うので、まだ手をつけなくて大丈夫です。
③カバー率測定問題集を優先度順に解く
漢検準1級は読み・書き・四字熟語など、ジャンル別に出題されます。
この中で、
・共通の漢字
・誤字訂正
これらのジャンルの勉強は後回しにします。時間がなければやらなくても大丈夫です。というのも、これらのジャンルは問題集に載ってない問題が本番で出てくるので、対策しても非常にコスパが悪いからです。
配点が高く、問題集と同じ問題が本番試験によく出題されているジャンルからマスターしていきます。具体的に優先度を以下に示します。
SS 四字熟語
S 書き取り
A 表外の読み、読み
B 対義語・類義語、故事・成語・諺、熟語と一字訓、文章題
C 共通の漢字、誤字訂正
おそらく四字熟語が一番覚えるのが辛く大変なので、勉強の序盤、集中力とモチベーションがあるうちに四字熟語を叩き込みます。
書き取りは40点と非常に配点が高く、完璧にマスターすべき項目です。とめやはねなどもチェックされるようなので、必ず1回は紙やノート書き出して確認することが大事です。許容自体がある漢字に関しては、なるべく許容自体で覚えると楽だと思います。
表外の読みは配点こそ10点と低いですが、出題範囲が少なく出るところが決まっているので対策した分だけ得点が伸びる非常にコスパの良いジャンルです。
また、読み問題は覚える内容が多くて大変ですが、配点が30点あるので繰り返し学習して全部覚えないといけません。
対義語・類義語、故事・成語・諺、熟語と一字訓、文章題
これらのジャンルは今まで勉強してきた読みや書き取りを踏まえた問題が出題されることもあり、比較的勉強しやすいと思います。トータルで配点もそこそこあるのでしっかり覚えます。
繰り返しますが、「共通の漢字」「誤字訂正」はやってもやらなくてもオッケーです。
④テキストの進め方
付属の赤シートを使って進めます。横に電子辞書を置きながら勉強します。
赤シートで隠しながら、必ず
「声に出して」
問題を解きます。
声を出すのと出さないのとでは定着度に差が出るので、小さくても良いので必ず声を出して読む、声を出して書く癖をつけます。
例えば、
畢生
これを、「ひっせい」と発音しながら読んだり書いたりする、ということです。目だけで覚えるのではなく、目+耳で覚えることが大事です。
解いていく中で、「出来なかった」「知らなかった」「見たことあるけど正解を思いつかなかった」「思い出しながらなんとか正解できた」問題にチェックをつけておきます。
気になることがあればその場で電子辞書で調べてメモを取ります。
⑤チェックマークが付いた問題を繰り返す
問題集を1周したら、2周目はチェックマークが付いた問題を解きます。このときまた間違えるようなら2つ目のチェックマークをつけます。
2周したら、3周目はチェックマークが2つ付いた問題を解きます。解けなければ3つ目のチェックマークを付けます。
以下同じようにして、計5周します。5周目はチェックマークの有無に関わらず、すべての問題をもう一度解きます。
5周もすればほとんどの問題に正解できるはずです。
5周したら、付録の中の「表外の読み書きランキング」に取り組みます。ここまでちゃんと学習していればある程度解けますので、解けなかった問題をプラスαで覚えます。
⑥過去問をコピーして解く
過去問は3年分(試験9回分)購入するのが望ましいです。
過去問がそのまま出題されることもあるので、過去問は多くこなす方が得です。
教材に書き込むのではなく、必ず付属の解答用紙をコピーして使用します。本番の形式に慣れることができ、解いていてストレスもなく、採点時に見やすいためです。
採点し、得点を出し、間違えた問題にチェックをつけながら、3年分解きます。解き終わったらチェックマークの付いた問題をもう一度確認し、覚え直します。
⑦本番までの時間の使い方
カバー率もほぼマスターし、過去問も解き終わり、あとは本番を迎えるだけになると、心に余裕ができ、リラックスするためにちょっと勉強を辞めてしまう人がいますが、個人的にはあまりおすすめしません。
経験上、試験直前にパラパラとテキストをめくっていたら、まさにその内容が本番の試験に出題されたということもあります。
試験監督の方から「荷物をカバンの中にしまってください」と言われる瞬間まで、抜かりなくテキストと向き合うことで、もしかしたら1点2点稼げるかもしれません。
⑧本番
本番はとにかく丁寧に字を書くこと。読みやすい字を意識し、とめやはねに注意することで無駄な失点を避けることができます。折角一生懸命漢字を覚えたのに、字が汚くて減点になるほど辛いことはありません。
さいごに
僕はこの方法を実践し、約2週間で難関・漢検準1級に合格することができました。
テレビもスマホも封印し、隙間時間をフルに使って取り組んだ結果です。
皆さんも学校やお仕事でなかなか時間が取れないとは思いますが、効率よく勉強することで必ず合格できますので、もしよろしければ漢字を勉強する上での参考にしていただければ幸いです。
長くなりましたが、ご精読ありがとうございました。
水谷 駿