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徳田です(^^)






今日は、李白・杜甫より一世代後に活躍した詩人・白居易を取り上げてみます。



世間では白居易や白楽天という名で有名な詩人です。

なぜ白居易かというと、詩の傾向でいえば杜甫よりなんですよ。


政治や社会の不正を批判し、反戦詩も多いです。
その中で、一番衝撃を受けた詩を紹介します。





「賣炭翁~苦宮市也」

炭を売る翁~宮市に苦しむなり


賣炭翁        炭を売る翁
伐薪焼炭南山中    薪を伐り炭を焼く南山の中
満面塵灰煙火色    満面の塵灰 煙火の色
両鬢蒼蒼十指黒    両鬢蒼蒼 十指黒し
賣炭得銭何所営    炭を売り銭を得て何の営む所ぞ
身上衣装口中食    身上の衣装 口中の食
可隣身上衣正単    憐れむべし 身上 衣 正に単なり
心憂炭賤願天寒    心に炭の安きを憂えて天の寒きを願う
夜来城外一尺雪    夜来 城外 一尺の雪
暁駕炭車輾氷轍    暁に炭車に駕して氷轍にきしらしむ
牛困人飢日已高    牛つかれ 人飢えて 日すでに高く
市南門外泥中歇    市の南門外 泥中にやすむ
翩翩両騎来是誰    翩翩たる両騎 来るは是れ誰ぞ
黄衣使者白衫兒    黄衣の使者 白衫の児
手把文書口称勅    手には文書をとり口には勅と称し
廻車叱牛牽向北    車を廻らし牛を叱し牽いて北に向かわしむ
一車炭重千余斤    一車 炭重きこと千余斤
宮使駆将惜不得    宮使 駆りもちゆけば 惜しみ得ず
半匹紅紗一丈綾    反匹の紅紗 一丈の綾
懸向牛頭充炭直    牛頭にかけて炭の値に充つ



[現代語訳]
炭売りの老人。

終南山で薪を伐り炭を焼くのがその生活だ。

顔中灰だらけ、ススだらけ。

左右の鬢の毛はゴマ塩、両手の指は真っ黒だ。

炭を売って銭を手にする。

それはいったい何のためか。

ほかでもない、身につける衣服と口に入れる食べ物のため。

気の毒にも来ている衣は単ものだ。

それなのに心では炭の値段が下がるのを心配して気候は寒いほうがいいと願っている。

昨夜、長安城外に一尺の雪が積もった。

朝まだき、炭車に牛をつないで凍てついた道をぎしぎしと引かせていく。

牛も疲れ、老人も空腹になるころ、日はすでに高い。

ほっと一息、市場の南門の外、ぬかるみのなかで休息する。

そこへ威勢良く駈けてくる二人の騎馬の男、いったい何者か。

黄衣をまとった宮市の使者と白衫を着た若者だ。

手には書き付けをもち、口には勅令だと叫び、車の向きを変え牛を叱りながら北のほうへ引いていってしまう。

車いっぱいに積んだ炭、重さは千余斤。宮市使が追い立てていくからには惜しんでも無駄だ。

半匹ほどのあかい薄衣と一丈ほどの綾。

そんなものを牛の角に掛けて炭の代金にする。

何と言うひどい仕打ち。




戦争が続き食物や生活用品が足りなくなると、

否応なしに農民からとりあげる。


白居易はこういった制度や社会を痛烈に批判しつつ、朝廷、皇帝をも批判しているという詩です。

この他にも、徴兵を免れるために自分で腕を折って不自由になりながらも、戦争に駆り出されられず、

こうして生き延びて生活している事が幸せだ…

と言う詩もあります。


この詩の具体性は杜甫を思わせるものがありますよね。

影響は多大に受けているんだろうと思われます。



しかし、徹底的に杜甫と違う所があるんです・・・


なぜに白居易は「閑適詩人」なのか。閑適とは?
次回に続きます 

 


閑適詩人・白居易その2はこちら

 

 




  

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