もうあれから1年以上たつだろうか。
人生においてちゃんと付き合うという経験をしたことのなかった僕が、見た目をいじられることの多かった僕が、女子には相手にもされなかった僕が、初めて付き合えた彼女と別れたあの日から。
当時の僕はすべてが終わったように感じた。もう、生きていく意味さえないような気がした。だからと言ってすべてを終わらせる勇気もなかった。だからそのまま、抜け殻のように生きていた。別に楽しみもない、夢もない、当時の僕にとってはその子がすべてだったのだ。今では考えられないくらいその子に依存していたから。
しかし、そのまま生きていくと非情なことにもその子の記憶は薄れていくものだ。忘れたいはずなのに、忘れたくない。覚えていれば、未練を残していれば、泣いていれば、また君が戻ってくるかもしれない、、、そんな愚かで哀れな思い出も抱いていたのだろうか。僕はなぜか、定期的に写真や動画を見返し、その子のことを思い出しては涙を振り絞っていた。
そんな日々でも僕という愚かな人間はまた人を好きになってしまったのだ。そのときも未練は強く残っていたはずなのに、新しい恋愛をすれば忘れられるとでも信じていたのだろうか。そんなわけはなかった。長くは続かなかった。ちゃんと好きになれなかった最低な自分が嫌だった。ほんとうにもう僕なんかに価値はないのではないかと思った。恋愛なんてするものじゃないと思った。
ただ、人の出会いは一期一会という通り、新しい人と出会えば何かしら得るものがあるらしい。僕はその恋愛の後から良くも悪くも好きな人ができても依存することはなくなった。だが、その後も初めての彼女の時のように半年以上続く出会いはなかった。
そもそも、なぜ最初の彼女と別れたのかという話だ。僕は明るくて元気で夢を追うその子についていくことができなかった。いや、ついていこうとしたことが間違いだったのだ。名前は伏せるが、その子はある場所で働きたがっていた。自分もそこは好きだったし、何よりそのこと少しでも一緒に近くにいたかったから一緒にそのアルバイトに応募したのだ。だが、現実とは非情なもので、なぜか僕だけが採用されてしまったのだ。その子にはそれがどうしても受け入れられなかったらしい。当時はお互いまだ10代。ほんと子供だったと思う。それが少しづつ価値観の違いを感じ始めていた二人に大きな亀裂を入れてしまったのだ。その後、その子は言った。私はアイドルを目指す!と。絶対に無理だと思った。そう信じたかった。アイドルなんて別の次元の存在、まさか自分の彼女がなれるなんて思わなかった。いつか諦めてくれて、また一緒に旅行に行ける日が、のんびりお泊りできる日が、きっと戻ってくると信じていた。けれど、そんな日はもう戻ってこなかったのだ。その子は夢をかなえた。そんなに知名度の高くないグループの傘下の見らないグループらしい。それを気に僕らは別れた。真面目な人だったからきちんとアイドル活動に向き合いたかったらしい。けれど、3か月くらいでやめたと風のうわさで聞いた。
それでも、こんな悲しい別れにも意味はあったらしい。その子に合わせて受けただけのアルバイトは今の僕にとってはかけがえのない居場所になっている。自分のアイデンティティの一つといっても過言ではないだろう。そして何より、人はあきらめなければ夢をかなえられるんだと学んだ。僕が勝手に決めていた自分の天井を壊してくれたのはその子だった。きっと、その子と出会わなければ、僕は何にも挑戦できない人間だったと思う。こんな風にブログを書くことも、カメラという趣味を活かしてインスタでおすすめスポットを紹介することも、留学に行くこともなかっただろう。文章で読むと小さなことに聞こえる気がするが、僕にとっては大きなことだったのだ。僕の知らない世界をあの子は見せてくれた。そして別れ際にそっと、その世界に出る扉をあけておいてくれたみたいだ。
ここまで読んでくれた人がいるなら退屈な文章に付き合ってくれたことにお礼を言いたい。ありがとう。
そして最後になぜ、こんな文章を書こうと思ったのかだけ記して、もう寝ようかと思う。
この前、久しぶりにその子の名前を聞いたのだ。僕のアルバイト先に僕が休みの日にヘルプで来てくれていたらしい。アイドルを辞めた後、もう一度、落ちたアルバイトの面接を別店舗で受けて、合格していたようだ。さすがに1年以上経てば、想い出すこともなくなっていたが、名前を聞いて、ふと、いろんな記憶がよみがえってきたから文章にしてみた。そうえいば今の自分があるのはあの子のおかげだなと強く感じたのだ。
これから生きていく中でまだまだ多くの出会いと別れが待っているだろう。楽しいもの・うれしいものだけじゃなく、悲しいもの・辛いものもあるだろう。それでも一つ一つを大切に受け止めて、少しづつ前に進んで生きていこうと思う。