平田弘史(ひらた ひろし、1937年2月9日-2021年12月11日)

 

平田弘史

 

12月11日は士道劇画の第一人者・平田弘史の二回目の命日です。
 「本物は永遠に新しい」 これは平田弘史選集の帯コピーです。 
若い世代にはあまり馴染みのない作家かも知れませんが、この言葉通り音楽・文学でも造形物でも真の芸術作品は永遠に色褪せない。それを実証するかのように、近年一部の若い人たちの間で再び平田弘史の作品が脚光を浴びました。
それというのも南條範夫原作の「駿河御前試合」が近年山口貴由によって漫画化(「シグルイ」)、大ヒットして、その原作や50年前に漫画家されていた平田の作品に注目が集まったという訳です。 
今の若い人たちにも、その凄絶な原作内容とともに、平田のこれも壮絶な芸術表現が時代を超えて受け入れられたものだと思います。 
 

平田弘史選集(私の蔵書から)

 

平田弘史は1937年東京生まれですが、16歳の時に空襲激化により奈良に疎開したことから関西に在住、20歳で貸し本(月刊・週間漫画が一般化する前、漫画は貸本屋さんで借りて読むものでした)大手の大阪「日の丸文庫」からデビューしました。写真2はその復刻版。幻の名作と言われた「つんではくずし」がやっと日の目をみることが出来ました。


その後一貫して武士道を描き続け、代表作には「薩摩義士伝」「首代引受人」「弓道士魂」「黒田三十六計」など数々の名作が挙げられます(写真3)。 
上掲の「駿河御前試合」の他数作に南條範夫、滝口康彦の原作物もあるものの、ほとんどは史実・創作を交えた凄絶な武士の生き様を描いた作品で、50年間どの作品も手抜きが無いのは驚くべきことです。 

 

「日の丸文庫」時代の復刻本(私の蔵書から)

 

私も高校生時代から折に触れて平田の作品を愛読して来ましたが、今どの作品を読み返しても一向に古さを感じさせないどころか、また新たな感動を与えられます。 
近年とみに彼の作品が注目され、幻となっていた作品群が次々に復刊されたのは実に喜ばしいことだと思います。

 

(私の蔵書から)

 

もう新しい作品を読むことができないのは残念ですが、二回忌に当たり、その過去の膨大な作品を読み返して平田弘史の素晴らしさを再確認したいと思います。
ちなみに実弟のとみ新蔵も同系のタッチで武士道を描く素晴らしい作家です。

 

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