Arthur Lee Conley (January 4, 1946 - November 17, 2003) 
今月17日は、ビッグネームのサザンソウルシンガーの中でも私が特に好きなArthur Conleyの20年目の命日にあたります。 
O.V.Wrightの命日の翌日ということになりますが、サザンソウルファンの人気はO.V.に集中してArthurは忘れられがちかも。
 確かに実力はO.V.に及ばないかもしれませんが、何かあると崩れてしまいそうな繊細な感覚(これは後述する彼の性癖に起因するのかもしれませんが)が何とも愛おしいキャラクターのArthur Lee Conley。 
是非この機会に、この素晴らしいシンガーを再認識していただきたいと思います。 

18歳の時Arthur & the Corvets名義でリリースしたI'm a Lonely Stranger(CD化)がOtis Reddingに見出され彼のJotisに再録、メジャーデビューのきっかけに。 そして代表曲Sweet Soul Music '67-2(Sam CookeのYeah Manをリメイク)が誕生します。 
その後Atcoから計四枚のアルバムを発表する中途に父とも仰ぐOtisの死によって失速、Swamp Doggのプロデュースなどで数枚のシングルを発表後オランダに移住。 
これは彼の生涯の習癖であった同性愛が、当時のアメリカでは受け入れられ辛かったのが理由と言われています。 

アムステルダムでは母親の姓を名乗ったLee Roberts & Sweatersとしてオールディーズソウルのステージをこなす傍ら事業を立ち上げ、複数の会社を成功させるに至ります。 そして2003年の57歳の若さで癌のため亡くなりますが、逝去の際に遠いアムステルダムで彼は何を思ったでしょうか。 

とまあ経歴は波乱に富んでいますが、その音楽は純粋です。 
メジャーでビッグヒットを放ちながら、彼ほど後々まで土臭い南部臭を残したシンガーは希でしょう。 
ノリの良いアップ、淡々と歌いながら哀愁を感じさせるミディアム、感極まった歌いぶりのスロー、全て大好き。 
時期によって出来にかなりムラがありますが、そこが彼の繊細な人間性を表していると言ったら弁護しすぎでしょうか。 
そういった意味も含めて、改めて実に愛すべきシンガーの一人だと思います。 

ではお勧め曲を何曲か。 

 


*I'm a Lonely Stranger '65(再録版)
https://www.youtube.com/watch?v=ShwaA4gvOKI Otisに見出され、彼のレーベルJotisに再録音してメジャーデビューのきっかけとなった曲です。 
*Who's Fooling Who '66 ファーストのアップでは一番好きな曲。
Fameの完璧なバックに乗せたArthurの歌いっぷりが素晴らしい。 
https://www.youtube.com/watch?v=s_Mih74GNg8 


*I'll Take The Blame '67 
https://www.youtube.com/watch?v=fCNHt88rLrg 
セカンドからはShake, Rattle And Roll '67-20のヒットも生まれましたが、アルバム全体としては今ひとつ精彩に欠ける出来でした。 その中でこのスローの誠実な歌いぶりは聴きもの。 

 

*You Realy Know How To Hurt A Guy '68 
https://www.youtube.com/watch?v=j6EJ32iPVI8 Otisの死後に発表されたサードアルバムは、アメリカンスタジオのバックが物足りないもののArthurは熱のこもった歌いぶりで、Bobby Womackの好サポートもあってかなりの高内容になっています。 
この曲はミディアムスローの傑作ですが、歌詞の対象が男性と考えるとちょっと微妙w 


*Get Youself Another Fool '68 
https://www.youtube.com/watch?v=PWu-U2VUT5o 
Sam Cookeの名曲(Night Beat収録)のリメイク。Bobby Womackのギターも素晴らしい。


*Otis Sleep On '68 https://www.youtube.com/watch?v=s7K6ipDslp0 
そして父とも仰いだOtisへ捧げる賛歌。悲しみと敬愛を込めていつもより一層丁寧に歌いこんでいます。 

 


*They Call The Wind Maria '69 
https://www.youtube.com/watch?v=uzBNkAi26HU 
ブロードウェイミュージカル「風の中のマリア」。 
ポップな素材では四枚目でビートルズの曲なども採り上げたArthurですが、出来はイマイチ。しかしこの曲に関しては彼ならではの歌いまわしが素晴らしく大好き。 


*God Bless '70-33 
https://www.youtube.com/watch?v=kykMF4lAxXI 
Swamp Doggのライティング・プロデュースによる好曲。スマッシュヒットしています。