義経伝説の残る瀬見温泉

 

訪問日:2012-05-20,21

 

 

最上赤倉温泉(正式名称ではありませんが、新潟県妙高市の同名温泉と区別するための呼称です)へは初訪問。
同温泉は開湯から1200年近くが経つという歴史ある湯どころで、小国川沿いに九軒の旅館と一軒の共同浴場(地元民専用)が軒を連ねています。
いずれも湯治利用を主体とした地味で素朴な施設が多く、冬場は近くのスキー場基地としても利用されます。
2004年2月同スキー場で開催された「山形もがみ国体」は大活況でしたが、その後客離れが進み、2013年には老舗「あべ旅館」が倒産。他の施設も老朽化が進んで地元民が危惧、現在良質な農産物を利用するなどの復興策が模索されています。

今回は宿は老舗の「湯守の宿三之亟」、やはり小国川沿いに三階建て、全29室を有するこちらでは中規模の施設です。

 

小国川沿いの宿

 

看板と本館入口

 

湯守の宿三之亟


ただし老朽化がかなり進んでおり、部屋の半分近くはもはや使用していない状態で露天風呂もながらく修理中のようです。

今回は本館の渓流沿い客室を予約。
新館もありますがなぜか眺望が山側で、せっかくの渓流が望めず人気は本館二階の川沿いの部屋に集中しています。また本館はずっと和式トイレで評判が悪かったのですが、今回宿泊した部屋は最新式のウォッシュレット式に交換されていました。

 

本館の渓流沿い客室

 

部屋からは小国川の渓流が


さてこちらで何と言っても圧巻なのは、三百年前に初代が手彫りで造ったという混浴大岩風呂です。
階段を降り切った湯舟の高さはすぐ隣を流れる小国川より低いということで、排水はポンプを利用しています。
基本が足元湧出ですが、泉温が高いため一部パイプで小国川を通し、熱交換方式で冷ました源泉を再投入しています。
岩風呂(1号源泉)の泉質はカルシウム・ナトリウム-硫酸塩温泉62.3度、pH8.2、足元湧出のかけ流し(夏場のみ状況により加水)
もう一つの瓢箪風呂(2号源泉)は同じ泉質ですが、51.9度、pH7.9のかけ流しで終夜入浴可能となっています。

湯舟は奥に「中湯」(足元湧出湯)、手前に「深湯」(足元湧出湯)、右上に「高湯」(打たせ湯)の三槽が設けられ、特に「深湯」は深さが二段になって最深部は140cmにも達します。
東北の湯治場らしく、基本は脱衣場だけ別の混浴ですが女性専用時間も設けられています。

 

混浴大岩風呂

 

「深湯」(足元湧出湯)

最深部140cm(左側)

 

岩風呂の浴槽

 

「中湯」(足元湧出湯)

熱い!

 

「高湯」(打たせ湯)

 

岩風呂の洞窟

 

ひょうたん風呂


別室でいただく夕食は山形の郷土料理が盛り沢山、特にこの時期は山菜が多く供されて嬉しくなります。
標準コースでもかなりの量でシニアにはちょっときついかも。私も蕎麦は半分しか食べられませんでした。
湯治場っぽい造りに老朽化した施設を見て食事はそれほど期待していませんでしたが、なかなかどうして内容・味付けとも上々でした。

 

山芋とオクラの梅肉和え

こしあぶらのお浸し

 

蕨と胡瓜の和え物

鶏肉と蒟蒻の煮物

 

「銀嶺月山雪中熟成」

 

岩魚田楽

 

煮物(棒鰊・椎茸・孟宗筍・山独活)

 

牛筋柔らか煮

 

天婦羅盛り合わせ

 

岩手牛しゃぶしゃぶ

 

ギボウシ(うるい)と蛸の酢の物

 

手打ち蕎麦

 

澄まし汁・香の物・デザート

*満腹で白米は食べられず

 

今回の宿泊客は二組のみで、夜中はもちろん朝食後も11時のチェックアウトまで、終日ゆっくり歴史ある大岩風呂を堪能させていただきました。

 

深夜の岩風呂

 


朝食膳
 

こちらにはスキー場という観光資源があるものの、若者のスキー離れが進んで将来の展望はけっして明るいものではありません。
町全体が老朽化する温泉街の宿命ですが、何とかこの素晴らしい源泉を生かして歴史ある湯治場を維持していってほしいものです。

最上赤倉温泉「湯守の宿三之亟」公式HP

 

チェックイン前に立ち寄った、義経伝説を残す瀬見温泉。

残念ながら有名な蒸し湯、老舗「喜至楼」ほか主要旅館はほとんどコロナで日帰り入浴を中止していました。

 

義経大橋

 

温泉神社

 

薬研湯

 

老舗「喜至楼」別館

 

老舗「喜至楼」本館


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