訪問日:2021-05-18,19
温湯温泉「佐藤旅館」立ち寄り
湯の倉温泉「湯栄館」(廃業・2004年訪問時の記録)
今や希少な存在となってしまった「本当のランプの宿」の一つである三浦旅館に宿泊してきました。
*(電気が通じているのにも関わらずムードを出すために「ランプの宿」を名のっているいる施設はいくつかありますが、こちらは全くの東北電力供給外です)
国道398号が開通する1982年までは、温湯(ぬるゆ)から峠を越えて四時間歩かねばたどり着かない超秘湯でした。
また2008年と2012年に起こった二度の大地震で施設の破損や原泉枯れが発生、苦労の上に再開が叶ったという経歴もあります。
現在は国道398号脇の駐車場クルマを停めて、川沿いの山道を10分ほど歩いて宿に向かいます。
栗駒山
山中の一軒宿
ここから山道を宿へ
宿への道
宿への道
森の中の道から急に視界が開けると、三浦旅館の建物が姿を現します。
建物自体はそれほど古いものではないので秘湯らしい風情はそれほど感じませんが、山小屋らしく素朴で好ましい佇まいです。
三浦旅館
旧館
玄関
帳場と階段
温泉犬のレース君はいたずら者
今回の部屋は二階の角部屋、八畳一間に踏み込みと広縁が付いた十分な広さで、窓はサッシが二段になったなかなかお洒落な造りです。
紅葉シーズンは栗原古道トレッキングの基地として連日満室ということですが、GW明けのシーズンオフということで今夜は一組貸切です。
二階の角部屋
窓から
休憩室
早速風呂へ。
内風呂は山小屋らしい木造りの好ましいもので、男女別終夜入浴可能、ただし深夜から朝までは温泉の供給を止めるため温度が下がります。
泉質は単純硫黄泉97.3度、pH8.8、湧出量48.6L、かけ流し。
内風呂
源泉を冷ます
そして宿への山道の途中に造られた混浴の露天風呂へ。
川沿いのコンクリート造りの湯舟は原生林に囲まれ、せせらぎを間近に感じられるもので野性味たっぷり。
泉温もそれほど高くなく、居心地の良い風呂でした。
一階の広間でいただく夕食は素晴らしい。
ほとんどが地の物という山菜尽くしで「これぞ山宿の食事」という内容に舌鼓、ビールと地酒が進みました。
夕食膳(左から)
山菜天婦羅・煮物・岩魚岩魚塩焼・・山葵の茎とガーリックチップ炒め
アイコ(ミヤマイラクサ)・こごみ胡麻和え・しどけ(モミジガサ)・地豆腐・行者ニンニク
天然うるい入り漬物・バッケ(蕗の薹)酢漬け・茶碗蒸し
完食!
夕食が終わってしばらくすると、宿の要所にランプが灯ります。
もちろんTVもなく携帯も通じず、普段何気なく使っている文明の利器はまったく使用できません。
ただせせらぎと虫の声や風の音を聞いて、思いだしたときに入浴するのみ。ランプの宿の夜はゆっくりと更けていきます。
朝は朝もやの煙る中を露天風呂へ、カジカガエルの鳴き声が郷愁をさそいます。
朝食も山宿らしい素朴なものですが、この環境でいただくのが何よりのご馳走です。
朝
朝の露天風呂
朝食
標高は700メートルと決して高山の宿ではありませんが、雰囲気はれっきとした山の宿。
トイレが旧式(水洗でない)のが神経質な女性にはハードルかも知れませんが、栗駒古道トレッキングに、紅葉狩りに、また温泉と山の食事だけを目的としても多くの人にお勧めしたいランプの宿です。
温湯温泉「佐藤旅館」
かつて湯浜温泉への登山口であった温湯温泉「佐藤旅館」、やはり震災で休業していましたがこの度立ち寄り湯に続いて宿泊も復活。
風情ある旧館は解体されてしまいましたが、内湯は昔のまま。若い有志の館主が頑張っているので、是非応援してあげてください。
今度は露天風呂復活も計画中だそうです。
泉質はナトリウム-塩化物泉69度/56.2度、pH7.8、入浴料500円。
温湯温泉「佐藤旅館」
内湯
内湯
*湯の倉温泉「湯栄館」
かつてこちらの4キロほど下流に、やはり歩いてしか行けない(こちらは徒歩15分)ランプの宿、湯の倉温泉「湯栄館」がありました。
河原の大露天風呂や山の幸たっぷりの食事が魅力でしたが、2008年6月の岩手・宮城内陸地震で水没、廃業となってしまいました。
女将さんは何と私と同郷の横須賀の出身で、「一度帰りたいけど足が悪いので帰れない」と懐かしがっていました。
希少なランプの宿がなくなってしまったのは非常に残念です。
写真は2004年訪問時のものです。
湯の倉温泉「湯栄館」
ランプの光で夕食
宿をバックに・河原の大露天風呂
冬季休業・要確認